インサイト火星着陸探査機ミッション概要


InSight(インサイト)は、打ち上げ予定初回時の日本時間、05月05日午後20時05分に打ち上げが行われました。91分後には待機軌道において本体の分離が行われ、火星への 4 億 8500 万 km の旅に出ました。

火星内部の全容を解明する目的を持つ NASA InSight(インサイト)火星着陸探査機は、2018年05月05日にカリフォルニアの海岸から火星の平原を目指して打ち上げられました。西海岸からは初めての惑星間航行となった打ち上げです。

InSight(インサイト) は、地震探査、測地測量、熱伝達によって内部を探査するという意味の略称(Interior Exploration using Seismic Investigations, Geodesy and Heat Transport)です。



インサイトは、火星 ” Inner Space ” の解明を目指す
 


 

インサイト火星着陸機は、45億年前に形成された火星内部の地質構造(地殻、マントル、コア等)を詳細に研究するよう設計されており、「地質探査機」として初めての試みとなります。

火星の内部構造を研究することは、40億年以上前の水星、金星、地球、火星といった私たちが住む太陽系内惑星(岩石惑星)の初期形成についての重要な疑問に答えるものとなります。また火星の現在の地殻活動の調査や、隕石衝突のプロセスの手掛かりを探ります。

着陸機は、最先端の計測器を駆使して火星表面下を掘り下げ、惑星形成に至るプロセスの「指紋」を探します。これは、「脈拍」(地震学)、「温度」(熱流)、「反射」(精密追跡)といった、いわゆる惑星の「バイタルサイン」を測定することによって行われるのです。
 

上画像:NASA(一部加工済み)
 

このミッションは、太陽系科学の重要な問題を探る、高度に集中した科学ミッション計画である、「NASA ディスカバリープログラム」によって採択されました。
 

はじめての火星惑星間 CubeSat(ミニ宇宙機)
 

上画像:NASA(一部加工済み)
 

地球から飛び立つインサイトを積載するロケットには、併せて別の技術実験機として Mars Cube One(or MarCO)という名前の二つのミニ宇宙船も同乗します。

彼らの目的は、インサイトが火星の大気突入から降下、着陸して探査を行うまでのデータを中継することです。これは、将来の惑星探査ミッションに新たな技術能力を提供できることを目的とした、小型化された CubeSat 技術としての初めての技術実証試験となります。

成功した場合、MarCos はこれまでに出来なかったデータの中継を現地~地球間での安全な着陸プロセスのニュースと、潜在的な問題を早期に発見することができます。尚、インサイトのミッション達成は、この同乗者 MarCos とは関係しません。
 

サイエンス目標
 

Science Goal 1: Understand formation and evolution of Mars(編集中)


 

Science Goal 2: Determine the level of tectonic activity on Mars(編集中)


 

このミッションの科学目標をサポートする科学目的は以下の二つです。

形成と進化
火星の内部構造とプロセスを調べることで、地球型惑星の形成と進化を理解する。

構造活動
火星における地殻活動の活動レベルと隕石の衝突速度を決定する。
 

これまでの火星探査ミッションは、峡谷や火山、岩石、土壌などの特色を調べることによって、赤い惑星の表面の歴史を調べました。しかし、惑星の形成の痕跡は、表面のはるかに下の「生命徴候」を感知して調べることによってのみ解明することができます。

他の地球型惑星と比較して、火星は大きすぎず小さすぎない天体です。このことは、火星の形成を調査してデータを解析することにより、地球型惑星がどのように形成されたかについての洞察を与えることができることを意味します。
このインサイトミッションは、岩石惑星の形成と進化を研究するうえで最適な実験室であると言えます。科学者たちは、現在の火星地質活動が低いことを知っています。しかし、インサイト着陸探査車は、火星が実際にどの程度の活動レベルであるのかを明らかにすることができるのです。

原文:InSight Mission Overview