LPSC 2018 - March 19 - 23

 

米国ブラウン大学地球・環境・惑星科学 上席研究員 廣井孝弘
 

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Vol, 28. 2018/03/24 AM 11:35 日本時間

お昼はまた Which Wich で買い、Super Shuttle が時間より早く来たので、12 時前にホテルを出て空港に向かい、無事にまだ肌寒いボストンの自宅に戻りました。

最後のお昼前には、写真のようにまた杉田君が ONC コアチームと打ち合わせしていました。なぜ NIRS3 チームや統合科学チームはやらないのでしょうかね。


 

とにかく、はやぶさ2の盛り上がりもあり、今回はその期待とともに、水面下で緊迫感が漂う LPSC でした。その一方、いまだに私のアイディアや貢献を無視して共著にも入れずに発表や論文を出す人たちがいます。私としては論文を増やすよりも、真理の探究、そして日本の探査ミッションへの貢献を最優先します。時間は逆戻りしませんから、時の時にやるべきことをやっておかないと、だれが何と言おうと歴史の真実は変えようがなく、いつか人々の知るところとなります。

来年は、はやぶさ2と OSIRIS-REx の結果で大きく盛り上がる LPSC となるでしょう。はやぶさ初号機のイトカワへのランデヴー後の2006年の LPSC では口頭発表を取れなかったので、2019年の LPSC では何とか頑張りたいものです。

ホテルも、Super 8 ではなかなか時間の融通が利かないので、高めでももっと近めのホテルを考慮すべきかもしれません。
 

Vol, 27. 2018/03/24 AM 00:31 日本時間

セッション会場に戻ってからは Rosetta による彗星 67P チュリモフーゲラシメンコの測定結果の発表を二つ聞きました。

A. Bardyn さんは、COSIMA という二次イオン質量分析計で有機物の量などを見積もった発表でした。元素の量しか分からないところから有機物の量を見積もるのは難しいと思うのですが、C, H, N と一部の O を組み合わせて、有機物が 45 % で鉱物が 55 % と見積もっていました。

有機物 45 % ってちょっと多すぎないかと思いますが、案の定、測定や校正にいろんな質問や問題指摘がありました。細かい粒子だけ見ていることもあるでしょうが、やはり多いような。

次は J. A. Paquette 氏が同じく COSIMA による重水素の相対量(D/H)の測定結果の話でした。その結果、誤差を考慮しても二種類の D/H 値を持つ物質が見つかったということでした。それに対し、太陽からの距離とか時間変化とかではないのかという質問が出ていましたが、そうではないという返答でした。

とにかく、地球の水の平均 D/H 値に比べこの彗星は 3 倍くらい大きいので、やはり炭素質コンドライトのように地球の値を含むあたりに分布している物質から地球の水が来たのではないでしょうか。

この時点で、お昼ご飯とかも買っておかないといけないので、セッションへの参加は終わりになるかと思います。

途中の休憩で、ロビーにいた Cyrene Goodrich と話すことができて、ユレイライトのレーザー風化実験での私の質問のこと、特に粒度依存性のことを説明することができました。これまで Almahata Sitta 隕石とかで共同研究してきましたが、面と向かって話せたのは今回初めてで、よかったです。
 

Vol, 26. 2018/03/23 PM 23:30 日本時間

金曜日の今日は LPSC の最終日で、午前中だけです。私はお昼頃に Super Shuttle で空港に向かう必要があるので、荷物を引きずっての参加です。

今朝も阪大の金丸君と一緒だったので、学振に通れば毎年来れるような研究費をもらえるよねというような話をしました。昨年と今年二年連続参加なので、その記録を続けていけるような。

最初の 8:30 からのGal Sarid 氏は、小さな小惑星の内部でも水氷が存在しうるという計算結果を示していました。細かいレゴリスがあれば確かに熱遮蔽効果があるのですが、Bennu や Ryugu で本当にそうかどうかわかると楽しみです。

次の Maximilian Hamm 氏は、Delbo ら(2014)とかが提唱してきた熱疲労による小惑星表面の岩石の破壊を研究し、その効果は太陽直下と極域の中間くらいで最大で、自転軸の傾きや軌道扁平率が高いと季節効果が大きいので変わってくるとか。いったん岩石が割れてくると、熱歓声が下がるので、熱疲労効果は一層加速されていくので、そのような Runaway 効果でどんどんレゴリスができていくようです。

Bennu は自転軸が割と立っていますが、Ryubu は傾きが大きそうで、軌道扁平率も大きいので、南半球により細かい粒子が大きいのではと予言していました。はやぶさ2が本当にそういうものを発見できれば面白いですね。

次の Dove さんは、微重力下でのレゴリス粒子の分布を、無重力飛行機(Hermes)のなかで色で区別したいろんな粒度のビーズの層に振動を加えたりして混合変化を見ていました。ちょっと結論はまだはっきりしませんが。

次は、J.-B. Vincent 氏で、彗星の表面が氷の揮発とかで表面地形がマクロ及びミクロにどう変化するかの研究でした。
 

Vol, 25. 2018/03/23 AM 11:26 日本時間

あれからまた仲内君のポスターに戻って色々話していると、ブラウン大で博士号を取ったばかりの Hannah が来たので、写真にあるように炭素質コンドライトから吸着水をとる前と取った後とで吸収強度と H の量との関係がどう変わるかという話に花が咲きました。Hannah は博士論文で有機物をリモセンで定量する研究を初めてして、OSIRIS-REx 関係でポスドクが決まっているので、競争相手でもありますが、お互い科学のレベルの高めあいをできたらいいですね。どうせ NIRS3 では直接有機物は測定できませんし。

そして、宇宙研の岩田さんや大竹さんも聞きに来ていましたね。

そうしたら、小惑星仲間の Tom Burbine もやってきたので、彼のポスターの、近地球の V 型小惑星をどう定量するかという話をしていて、そのあとどういうきっかけだったか、荒井さんと一緒に写真撮りましょうということになりました。


 

ONC の PI である東大の杉田君も一所懸命ポスターで説明をしていました。

既に 8:30 になっていたので、ポスターセッションは21時までですが、急いでシャトルバスを捕まえてホテル Super 8 に戻ってきました。明日はチェックアウトして帰る日なので忙しいですし。
 

Vol, 24. 2018/03/23 AM 10:01 日本時間

午後のセッションの後、一昨日と同じようにスーパー HEB に夕食を買いに行くと、駐車場で環境研の山本君ら一行と会いました。それで、フォボス・デイモスのセッションでの THEMIS による赤外スペクトルで、長石はあり得ないと言っていたことを話してちょっと議論しました。実験室データで調べておいたらと助言しました。

中に入って、玄米寿司を探してどれにしようか考えているうちに、宇宙研の大竹真紀子さんらが同じように右の方から買いに来ていてあいさつしました。やっぱり日本人の好みは似通っているのかも。写真は一昨日のものですが、今日も似たようなものです。


 

今日はとっても天気が良くて暖かく、HEB への途中に公園のようなところがあり、日陰にベンチがあったので、すしはそこで食べてからポスター会場に向かいました。あと、今年から学会中にロビーで出るコーヒーがスタバではなくマリオットホテルのブランドになり、味は今一だと思いますが、豆乳が加わりました。

ポスターセッションでは、日系人の Mke Izawa が紫外光で炭素質コンドライトの反射スペクトルを測定していて、モデル計算も含め、興味深い結果を出していました。現在は岡山大学の研究所にいて、2021年までしばらくいるそうです。Ed Cloutis のところで訓練されたのか、なかなかの優れ者です.

そのあとポスターの間の通路のところで、ブラウン大の惑星地質で Jack Mustard について博士をとった火星鉱物学者である Bethany Ehlmann と出くわしたので、挨拶したら、面白い質問をしてきました。

RELAB で双方向反射スペクトルと FT-IR の反射スペクトルをどうつなげているのかということや、炭素質コンドライトがなぜあんなに暗いのかです。いろいろ詳細な内容があるのですが、丁寧に説明しました。Bethany は学生も多く取り、実験室で多くの機械を立ち上げているので、今後が楽しみです。

それと、書き忘れましたが、昼間にポスターを下見している間、Carle Pieters の指導で博士号をとった Deepak Dhinga が話しかけていて、今はインドの研究所で雇われることになったそうな。水酸基と水を 3 ミクロン帯でどう分けて定量するかという質問されたので、丁寧に私のポスターの結果も含めて説明しておきました。

それと、NIRS3 チーム(はやぶさ2)である仲内君が Driss Takir のところで炭素質コンドライトから吸着水を飛ばして測定した 3 ミクロン帯の結果のポスターを見に行って議論していると、Driss が通りかかったので、皆で、なぜ 2.95 ミクロンあたりの吸収が消えないのか議論しました。この夏のリュウグウの観測に向けて非常に重要な点です。

多くの関心のあるポスターは既に下見もしていたので、あまり多くのポスターを見ることはできませんでしたが、いろんな人を捕まえて話せる時間でもあり、まあまあ充実した時間を過ごしています。そこそこ疲れてきたので、こうして椅子に座って速報を書いて、あと適当に見回ってからシャトルで帰ろうかと思います。
 

Vol, 23. 2018/03/23 AM 07:09 日本時間

午後後半の 3:45 からはフォボスとデイモスのセッションがあり、4人の発表だけの小さなセッションでした。

最初は東大博物館の Hirdy 宮本君(英昭)で、フォボス・デイモスの模擬レゴリスとして、D 型小惑星起源と思われる Tagish Lake と、巨大衝突期限を考慮して火星に似た物質で組成や組織を比較したものでした。

私は、宇宙風化を考慮すると Tagish Lake はそこでは D 型スペクトルを示さなくなるので、ちょっとその考えから離れたほうが良いのではとコメントしました。彼もそう思っていたようですが。

次の 4:00 からは、Joshua Bandfield 氏が赤外分光計の THEMIS でフォボスを測定した結果を紹介し、赤外領域では始原的物質のスペクトルを示していないという結論を出し、山本君の発表した宇宙風化した長石かもと言っていた人がいたがどう思うかという質問を誰かが したら、それはあり得ないだろうという答えでした。普通 IR 領域は宇宙風化では大きく変化しないので、もっともらしいかと思います。

次は東大の兵頭さんが、巨大衝突でフォボスとデイモスを作ったらどうなるかという計算で、前のセッションでもあったように、火星の物質が半分とかかなり混ざり、粒子サイズが 0.1 ミクロンから分布している可能性があるので、それなら吸収帯が消えて見えなくて問題ないはずだと言っていました。確かにそうでしょうが、暗くて赤化しているスペクトルを出すには宇宙風化が必要なので、粒子サイズだけではだめでしょう。とっても明るくなってしまいますし。

最後は、一緒に昼食にも行った菊池君で、フォボスの Stickney クレーターの周りの二つのより青い射出物の位置が非対称的である原因の説明をし、Stickney の年齢は 0.33 から 2.8 億年と推定していました。

JAXA の MMX ミッションに NASA も機器を載せると宣言したことを受け、今後このような研究がきっと進んでいくことでしょうね。

さて、今日は後ポスターセッションを残すのみです。また HEB に夕食を買いに行こうかな。
 

Vol, 22. 2018/03/23 AM 04:12 日本時間

衝突のセッションを出たら、極地研の三澤さんと新原君がいたので、話しているうちにお昼に行こうということで、今回初めてレストランに行って食べました。杉田研から今 Goddard に来ている長君ご夫婦と菊池君も一緒で六人で Olive Garden というイタリアレストランに行きました。ちょっと食べすぎたかなあと思いましたが、他で節約しているので良いでしょう。

会場に帰ってきてトイレに行ってからコーヒーをもらいに行くと、Bruce Hapke 先生とすれ違ったので、メールで送った写真を使っていいですかと尋ねたら快諾してくださったので、ここに添付します。ブラウン大でもうすぐ博士号を取ろうとしている Yazhou と Hapke 先生が難しい話をしている場面です。


 

今日の午後の後半にはフォボスとデイモスの話がいくつかあるので、聞きに行こうと思います。
 

Vol, 21. 2018/03/23 AM 01:54 日本時間

そのあと 15 分は休んで、9:30 からまた衝突セッションに戻りました。

とってもハンサムでスーパーマンをやった時の Christofer Leeve のような学生の Manske 氏が、iSALE というコードで巨大衝突のシミュレーションの話をし、天体の温度とか近くの暑さとかいろいろ変えて、部分溶融の場合や完全溶融の場合でどう結果の層構造が変わるかを示していました。

その次は、Sarah Stewart さんが、月形成の巨大衝突において、マグマオーシャンを作る困難さを話していたように思います。基本的には、地球の自転のせいで深さ方向の金剛が効果的に起こらず、難しいという結果だと思います。

次の Philip Carter 氏は、巨大衝突における重力ポテンシャルエネルギーの重要性を強調していたようで、内部エネルギーに大きく貢献するということです。

その後は、名古屋大学の加藤君とスペクトルモデルの議論をポスター会場でして、最後の発表に戻ってきました。

最後は、日本の MMX ミッションにも関係するフォボスとデイモスの成因のモデル計算を Canup さんがしたものです。過去 45 億年とかに、フォボスとデイモスはシンクロ軌道と呼ばれる距離から内側と外側に移動したと考えられ、それをもとに、従来考えられてきたよりずっと大きな 2000 ㎞ くらいの衝突体が火星にぶつかったとすると、両方を巨大衝突で再現できるという話です。その結果、フォボスには 77 % くらいの火星物質が混ざっているということです。

その講演の最後に、D 型スペクトルはミクロン以下の小さな粒子で再現できるという他の人の仕事を引用していたので、私は後で捕まえて、宇宙風化はやはり必要だという点を強調しておきました。その引用論文を読まないといけないですが。宇宙風化を考慮はしているようなので。

Vol, 20. 2018/03/22 PM 23:48 日本時間

今朝も Houston にしてはとても寒い朝で、手袋が必要かと思うほどでした。07時ころの最初のシャトルには、いつもの環境研の荒井さんと阪大の金丸君も乗ってきました。

今朝の最初の二つは、月の水の話を聞きに行きました。

8:30 の最初の講演は、ブラウン大で博士をとって今ハワイ大にいる Shuai Li が、地球の磁場の尾に月が入る際に、一時的に H の埋め込みが減ることによる OH 吸収帯の減少を調べていました。高緯度域で特にそれが顕著に見えていますね。こういう季節ごとに上下する一時的な OH 以外に、ガラスに固定されて残って、更にいずれ水になるものもあり、極域の、特に陰の部分に水があるのは理解できます。

次は、Tucker 氏が単純な H と O の結合モデルで、温度依存のせいで、月の緯度に依存して Shuai と Ralph Milliken が論文にしたような分布ができるという計算結果を発表していました。

私は、何年か前に、H原子や分子が高緯度に移動していくモデル計算を発表していた人がいたし、H と O の結合しやすさは鉱物種に依存するだろうし、レゴリスがあるかとか粒度によって散乱断面積が変わって H の取り込み量も変わるだろうから、そういう効果はどのくらい聞くのかという質問をしましたが、やはり今回は簡単な全体的傾向の計算だという答えでした。おそらく、どの要素も高緯度にHがたまる方向に向きやすいとは思いますが。

その後は、衝突セッションの会場に移り、9:00 から、杉浦君が、イトカワの形をまず紹介し、微惑星の衝突の速度や角度によっていかなる小惑星ができるかを計算していました。SPED (Smooth Particle Elastic Dynamics)という輪ゴム的な運動を許すモデルのようです。イトカワのようなものだけでなく、平たかったり、長かったり、半球だったり、いろんな形の小惑星ができるのが面白いです。
 


 

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Notes : March 23, 2018

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