NASA アルテミス・ミッションは、I から II、III へと駆け上がる!


すでに KSC ケネディ宇宙センターに辿り着いたオリオン宇宙船は、今は静かにその船体を休め、技術者によって総ての機器を丁寧に分解されていることでしょう。マネキン船長や重力試験用のスヌーピー、重要なペイロード(搭載物)のほか、耐熱シールドの点検など、様々な確認作業が行われます。とは言っても既にアルテミス II、III に向けた工程の消化が始まっています。ツイッター等、SNS のある現在の情報通過スピードは目まぐるしいほどで、SLS 初号機の感動に浸っている間は与えてくれません。但し、速くても不正確な情報発信は避けなければいけませんので、じっくりと吟味しながらこの SLS ウェブの構築を進めて行こうと思います。

ページ右上に、何やらボタンが登場しています。「Artemis I」にアルテミス I の KSC 到着までをアーカイブしました。「Artemis II」は当面、このインデックスページとなります。当面ですので。

尚、「Artemis II Orion」のカタカナ表記について、英語読みでは「アーテミス・オライオン」となりますが、TPSJ では「アルテミス・オリオン」とします。一般的には、どちらでも良いのだと考えています。
 



アルテミス I からアルテミス II へ

SLS ファーストフライトデータから、次期 Artemis II ミッションに向けて準備する

今年初めに出されたアルテミス I の総括記事が上記リンクです。初号機のデータ評価を踏まえて二号機に反映していくのは当たり前ではありますが、すでに「II、III」のエンジン試験や各種アセンブリー工程も昨年より進められています。

以下に、上記の総括記事以降のアルテミス II 進捗記事を和訳解説しました。上が最新(2023/10/23)です。

アルテミス II オリオン宇宙船のクルーモジュールとサービスモジュールが結合される
アルテミス II ミッションで使用する SLS ロケット・コアステージに残りの RS-25 エンジンを全て装着
アルテミス II に搭乗する宇宙飛行士による打ち上げ当日のデモンストレーションを完了
アルテミス II SLS ロケットコアステージに一基目の RS-25 エンジンを結合
移動式ランチャーがアルテミス ll の打ち上げ試験のために発射台へ
アルテミス II オリオン、クルー・モジュールの音響試験が完了
アルテミス II 宇宙飛行士、回収訓練のためサンディエゴ海軍基地を訪問
アルテミス II オリオン宇宙船に熱シールドを設置
アルテミス II ミッション、ESA(欧州宇宙機関)提供のサービス・モジュールの進捗
アルテミス II オリオン、サービス・モジュールの音響試験を完了

収録カテゴリは TPSJ Space Topics です。
 



NASA Artemis(アルテミス)とは?

アルテミス計画により NASA は、初めての女性と、白人以外の宇宙飛行士を交えて初の月面着陸を実現し、革新的な技術を駆使してこれまで以上の探査を行う。我々は、商業的および国際的なパートナーと協力し、月とその周辺に人類とロボットによる初の長期的なプレゼンスを確立する。将来的には月で学んだことを活かし、火星に宇宙飛行士を送り込むという次の大きな飛躍を目指す - - What is Artemis? | NASA Artemis

アルテミス計画ホームウェブ
アルテミスプラン(PDF)
 

なぜ月に行くのか?

火星を含む将来の探査に必要な新しい技術、能力、ビジネスアプローチを実証する。
月を研究し、地球、月、太陽系の起源と歴史について学ぶ。
月における米国のリーダーシップと戦略的プレゼンスの確立および米国の世界的経済効果を拡大する。
商業的・国際的パートナーシップを拡大する。
新しい世代にインスピレーションを与え、STEM * 分野でのキャリアを奨励する。

STEM * 科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、数学(Mathematics)の教育分野を総称したもの。
 

月に行く方法は?

フロリダ州ケープカナベラルのケネディ宇宙センターから打ち上げられる NASA の強力な新型ロケット SLS(スペース・ローンチ・システム)は、オリオン宇宙船に乗った宇宙飛行士を地球から月軌道までの 25 万マイル近くを航行し送り届ける。宇宙飛行士はゲートウェイと呼ばれる軌道上の前哨基地でオリオンをドッキングさせ、月面探査用の有人着陸システムに乗り換える。その後宇宙飛行士は、ゲートウェイに戻り、再びオリオン宇宙船に乗り込んでから地球に安全に帰還する。
 

月面に到着するのはいつなのか?

2022年から 10 年間は、商業的な着陸船によって、一連の科学機器と技術実証を月面に送る予定である。
月面着陸に先立ち、深宇宙探査システムを試験するため、月周回ミッションを二度実施する。我々は、SLS とオリオン宇宙船の試験のため、まず無人飛行でのアルテミス I の打ち上げに取り組んでおり(昨年2022年に成功している)、その後、乗組員とともに打ち上げる SLS とオリオン宇宙船の試験飛行であるアルテミス II が現在進行中だ。
 

そこで我々は何をするのか?

火星は依然として地平線上ほどの遥かな目標であるが、我々はまず、人間とロボットによる月面の探査に照準を合わせている。月の南極点を手始めに探査し、未踏の場所に宇宙飛行士を送り込もうとしている。具体的に月で行うことは:

長期に渡る探査に必要な水やその他の重要な資源を見つけ、利用する。
未解明な月の謎を調査し、私たちの母星と宇宙についてさらに学ぶ。
別の天体の表面で生活し活動する方法を学ぶ。
往復三年もかかる火星へのミッションに宇宙飛行士を送る前に、必要な技術を証明する。
 

月への帰還は、我々の世代が輝く瞬間となるだろう。この瞬間は、私たちアルテミス世代全員のものとなる。準備はできていますか?
 



NASA スペースローンチシステム概要


マーキュリー計画、ジェミニ計画、アポロ計画、スペースシャトル計画、国際宇宙ステーションと続いたプロジェクトの発展的な形として、月から火星へ向かう新たなミッションの役割として計画されたコンステレーション計画がありましたが、アポロ計画の二番煎じであるとか、機材等に新規性が見当たらないほか、打ち上げロケットのアレスシリーズへの不安等の理由から、2010年に計画が中止となりました。代わって登場したのがこの SLS であり、コンステレーションと同様な役割に併せてオリオン計画と統合するなど、さらには有人における様々な追加アプローチも検討されております。
 

ファーストフライトに関して

SLS によるミッション計画は、現在様々な提案が出され検討中ですが、それらの説明は割愛し、ここではファーストフライトとしての EM-1 計画(現在のアルテミス I に相当)を取り上げていきます。EM-1 計画は、「Exploration Mission 1」の略で、無人オリオン宇宙船とピギーバック宇宙機 13 機の放出を行う SLS ファーストフライトに当たります。
 

NASA フロリダ州メリット島 Kennedy Space Center。
 

EM-1 の打ち上げシステムは、ブロック I で行われます。これは、ブロック 0、I、IA、II とある打ち上げシステムの中で、第一段ロケットに四機の RS - 25D エンジンを搭載したものです。打ち上げは2018年(2016年当時の予定)にフロリダ州メリット島の ” Kennedy Space Center Launch Complex 39 ” (上画像は KSC の全景)で行われますが、ウェブ上では未だ射出日を出しておりませんので、ここでも憶測での表記は控えておきます。が、予定日ではなく予測日としては、2018年09月30日(現地時間)とされています。(2016年02月22日時点で、11月打ち上げに変更されています。)
 

キューブサットの選択枠に関して

13 機のキューブサットについて、その選択は NASA の幾つかの部門によって実施されました。すでに選ばれて開発が進められているもの、コンペによって選出されるもの、協力関係にある国際的なパートナー向けにも三機の枠が用意されており、選出された我が国では、プロキオンに続くさらに進化した超小型宇宙機エクレウスで臨みます。
以下で選出部門、選択されたキューブサットのミッション内容を。日本語訳して解説しています。

SLS セカンダリーペイロードの詳細
March 10, 2021 Latest
 



Akira IMOTO

Editorial Chief, Executive Director and Board of Director for The Planetary Society of Japan

Japanese Translation : A. IMOTO TPSJ Editorial Office