The Planetary Society of Japan

Discovering Enceladus

Basics of Enceladus

Updated : September 18, 2016

 

本カテゴリでの”Enceladus”の日本語表記は、英文サイトとの整合のため、「エンセラダス」としております。近年、国内でも「エンケラドス」との表記が増えており、このカテゴリ以外ではそれを使用します。また、各カテゴリタイトルも、英文サイトに併せて英単語が多いですがご容赦ください。
 

エンセラダスを初めて観測したヴォイジャー

 

” 土星の65の衛星 ” の一つエンセラダスは、1789年にウィリアム・ハーシェルによって望遠鏡で発見されました。以降エンセラダスの詳細が明かになってきたのは20世紀になってからです。これは、1980年代初期に数回に渡ってエンセラダスを通過したヴォイジャー1号および2号の撮影した画像(左(上)画像)によるものです。これにより、科学者のエンセラダスへの理解が深まりましたが、情報はまだ限られたものでした。エンセラダスが実際にどれだけ特別な存在であるかが分かるのは、21世紀の初めでした。

1981年にエンセラダスから87.000km程をフライバイしたヴォイジャー2号によって撮られたこの画像からは、古い地形と新しい活動が推測される以外に、研究者にはエンセラダスの驚愕すべき今もなお活発な地質活動が行われていたことは推察出来ませんでした。その解決機会は、21世紀早々に訪れました。

 

2004年、NASAのカッシーニ宇宙船によってエンセラダスの理解が飛躍的に進みました。カッシーニに搭載された新技術、測定データとエンセラダスの詳細な画像から、水蒸気が南極領域で噴出していることが明らかになりました(左(上)画像)。 データと画像から、いくつか興味深い結論を導くことができます。エンセラダス表面には、クレータやその他の地形的な特徴の無い領域があります。表面の地下に海洋があるとすれば、その潮の流れが熱を生成しているとも考えられます。これについては、液体の海洋が氷の下にどのように存在するのかが求められます。

また、エンセラダスの南極域では、いくつか海溝の変形が観察され、活発に蒸気を噴出する様子が撮影されています。これら海溝の変形は"tiger stripes"と例えられ、噴出する蒸気は地熱間欠泉に似ています。これはその下に液状の物質があること、つまり海が拡がっていることを強く示唆しています。つまり、摩擦熱の生成を含む潮汐運動が、液体の海が氷の表面の下に存在する理由と言えます。
(以上、2011年の Joe Weichman 氏グループによる解説を2015年に MEF が改訂)

 

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