はやぶさ2による小惑星レゴリス試料採取を模擬した衝突実験
特集「日本における衝突研究の軌跡」

岡本千里1,兵頭拓真2,百武徹3,澤田弘崇4,國中均4,橘省吾5
1. 神戸大学大学院理学研究科 2. 横浜国立大学大学院工学府 3. 横浜国立大学大学院工学研究院 4. 宇宙航空研究開発機構 5. 北海道大学大学院理学研究院

※ この遊星人記事は、日本惑星科学会遊星人編集専門委員会より許可を得て掲載しております。
 

要旨

小惑星探査機「はやぶさ2」による小惑星サンプル採取量の推定は,小惑星到着後,はやぶさ2のサンプリング地点を決定する上で非常に重要となる.はやぶさ2のサンプリング機構は,様々な小惑星表面状態に対応できるよう,小惑星表面に弾丸を衝突させ,舞い上がった粒子を採取する仕組みとなっている.そのため,衝突クレーター形成時の放出粒子の挙動を知ることは,小惑星サンプル採取量や採取過程を明らかにすることにつながる.小惑星には様々な表面状態が存在すると想定されるが,はやぶさ2のサンプリング候補地点として,粉体層からなるレゴリスが有力視されている.そこで本稿では,はやぶさ2のサンプリング機構を模擬し,小惑星レゴリスからのサンプル採取時の放出粒子の挙動や採取量を実験的に明らかにした.
 

1. はじめに

小惑星探査機「はやぶさ2」は,小惑星(162173)1999 JU3(以下,1999 JU3)へ向けて2014年12月に種子島宇宙センターから深宇宙へと打ち上げられた.はやぶさ2探査機は,2010年に地球帰還を果たした「はやぶさ」の後継機である.「はやぶさ」は S 型小惑星であるイトカワ表面から小惑星サンプルを採取,地球へのサンプルリターンを行ったが,そのサンプル分析から太陽系や小惑星形成の歴史に重要な制約を与えることができている[e.g., 1-3].「はやぶさ」による S 型小惑星探査に続き,「はやぶさ2」では C 型小惑星である 1999 JU3 からのサンプルリターンを目指している.「はやぶさ2」は2018年の小惑星到着後,表面からサンプル採取を行い,2020年に地球に帰還することを予定している[4, 5].始源天体である C 型小惑星には,有機物が多く含まれるとされる一方,地球上で発見される C 型小惑星由来の隕石からは,かつて含まれたであろう揮発性成分である氷や有機物の存在量を定量的に決定することは難しい.宇宙空間での生命材料物質の探求や地球での生命材料物質の進化を解明するためには,地球での汚染・変成のないリターンサンプルを詳細分析することが求められている.

小惑星 1999 JU3 の表面状態は,探査機が到着し,直接観測を行うまでは全くの未知である.そのような未知表面からのサンプル採取を行うために,どのような表面状態にも対応可能なサンプリング手法を開発する必要があった.そこで,はやぶさ2では,はやぶさと同様,様々な小惑星表面状態に対応できるよう,弾丸を小惑星に向かって発射し,衝突により放出した小惑星粒子を採取する方法(弾丸射出法)が採用された[6, 7].弾丸射出法によるサンプリングによって,ターゲットとなる表面状態が,硬い岩盤層から細かな小惑星レゴリス層まで幅広く対応することが可能となる.

現時点で 1999 JU3 の表面状態は未知であるが,その表面組成については地上観測や隕石分析の結果から予測することが可能である.それによると,この小惑星表面組成は,炭素質コンドライト隕石組成を持つ天体ではないかと予測されている[8].炭素質コンドライトの研究から,その母天体と考えられる C 型小惑星と,普通コンドライト隕石の母天体である S 型小惑星では,構成物質の強度や組成が異なることが予想される.先行研究では,1999 JU3 からのサンプル採取時の粒子挙動を調べるために,炭素質コンドライト隕石の物性を模擬した C 型小惑星模擬ターゲットへの衝突実験が実施された[9].C 型小惑星模擬試料として,コンドリュールとマトリックス部を持つガラスビーズ焼結体が用いられたが,実験では模擬試料が大きく破砕され,コンドリュールやマトリックス部の破片が玄武岩やレンガなどと比較して大量に放出されることが分かった.このことより,C 型小惑星は,S 型小惑星より脆弱で破壊されやすく,衝突によって大量の粉体層を形成することが予想できる.また,NEAR シューメーカー探査機によって明らかにされた S 型小惑星エロスや,はやぶさ初号機がサンプルを採取した S 型小惑星イトカワの画像から,その表面は ~cm サイズかそれ以下のレゴリス層で覆われていることが明らかにされた.このことから,イトカワの 2 倍程度の直径を持つ C 型小惑星 1999 JU3 の表面にも,レゴリス層が存在する可能性が高いと考えられる.加えて,はやぶさ2がタッチダウンを行う候補地点は,スムーズな地形であることが工学的に求められており,比較的細かな粒子径からなるレゴリス層は,サンプリング地点の候補地として有力視されている.小惑星表面からの試料採取量・採取効率を調べることは,サンプリング地点に制約を与える上で非常に重要となる.小惑星レゴリスからの試料採取量や採取効率の推定を行うためには,サンプリング時に放出される各粒子の挙動を明らかにする必要がある.

小惑星レゴリス層を模擬した粉体ターゲットへのクレーター形成実験や数値シミュレーションが,様々な先行研究で実施されてきた[e.g., 10-12].その中でも,クレーター形成実験では主に,クレーターから放出される放出粒子の集合体であるイジェクタカーテンを観測している.このイジェクタカーテンは,個々の粒子の集まりであるため,個々の粒子運動を見ると,それぞれの放出速度や放出角度は異なることが分かる[12].はやぶさ2のサンプル採取効率を調べるためには,個々の粒子の運動に対して,詳細な解析が要求される.一方,個々の破片運動を追った研究もなされているが[13],はやぶさ2で使用される弾丸は,先行研究で実施されてきたクレーター形成実験と比較して,高密度の弾丸であり(弾丸詳細については 2 章参照),弾丸密度による放出粒子の挙動の違いを調べる必要がある.また,はやぶさ初号機において,はやぶさサンプラーによるイトカワからのサンプル採取量を予想するため,地上実験および微小重力実験が実施された[7].そこでは,主にクレーターからのイジェクタ放出量に対する採取量について調べられたが,個々の放出粒子の挙動と採取量の関係を明らかにすることについては,今後の課題となっていた.そこで本研究は,小惑星レゴリスからのサンプル採取量・採取効率を推定するために,クレーター形成過程における個別粒子の挙動について詳細に調べることとする.
 

2. サンプリング機構の役割と仕組み

近年,分析技術の大幅な進歩により,ごく微量の隕石や小惑星試料中の微量元素分析や希ガス分析,鉱物組成などの分析が可能になった.例えば,はやぶさが採取した少量のイトカワサンプルにおいて,微量の小惑星試料のハンドリング技術や分析手法が確立され,イトカワ母天体の形成史が明らかにされた[e.g., 1-3, 14].小惑星試料のハンドリング技術や分析手法は,はやぶさ2 のリターンサンプルが届く2020年には,さらなる向上が予想されるが,1999 JU3 母天体の形成史や有機物の由来を特定するなど,サンプル分析から十分な科学的成果を上げるためには,mm サイズの粒子を含む,少なくとも 100 mg 以上の岩石試料が必要とされている[5].そこで,はやぶさ2のサンプリング機構は,効率的に小惑星サンプルを採取できるように設計された.以下にサンプリング機構の仕組みをまとめる.
 

サンプリング機構は,サンプラーホーン,プロジェクタ,キャッチャから構成される日本独自のサンプル採取装置である(図 1).
 

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図 1. はやぶさ2探査機におけるサンプリング機構:(a)はやぶさ2の小惑星へのタッチダウンの想像図.(b)サンプリング機構模式図.点線矢印は弾丸の軌道を示す.(c)打ち上げ前に撮影されたサンプラーホーンの写真.
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サンプラーホーンは,探査機の中で小惑星表面に直接接触する唯一の部位であり,舞い上がったサンプルを探査機内へと誘導する働きをするため,サンプル採取量に直接的な影響を及ぼす重要なパーツと言える.サンプラーホーンは,上部,中部,下部ホーンから組み上がっている.上部,下部ホーンはアルミニウム製であり,舞い上がったサンプルの衝突にも十分耐える強度を持っている.中部ホーンはベクトランという防弾チョッキにも使われる布素材とバネで構成された蛇腹状構造を持つ.舞い上がった粒子がホーンを破って機体に損傷を与えないように強靭な布が選ばれており,接地時の衝撃吸収も担っている.さらに小惑星表面が斜面であっても,表面に沿ってホーンの先端を押しつけることができるという利点がある.また,蛇腹状構造にすることにより,ロケット搭載時はホーンを折り畳むことができる.2014年12月の打ち上げ後,はやぶさ2は予定していた通り,折り畳まれたホーンの伸展に成功し,現在図 1 の状態で飛行を続けている.

小惑星到着後,タッチダウン地点を選定したのち,はやぶさ2は小惑星へと着陸し,サンプルを採取する予定である.サンプラーホーンの下端が小惑星表面に接触すると同時に,センサーが反応しプロジェクタに設置された金属製弾丸が発射される.小惑星サンプルはクレーターからイジェクタとして放出され,サンプラーホーンの内部壁面を反射しながら上昇する.放出されたサンプルは,壁面との衝突,粒子間衝突を繰り返しながら,最終的に探査機内部に設置されたサンプルキャッチャ(試料回収容器)に収まる仕組みである.

プロジェクタは基本的に,はやぶさ初号機と同等の設計となっている.プロジェクタに設置されたパワーカートリッジ内の火薬発破による燃焼ガス圧により,パワーカートリッジの前に設置されたサボが銃身前方に向かって射出される.サボには弾丸がねじで固定されており,銃身前方についたサボストッパーにてサボと弾丸は分離され,弾丸のみが前方に飛翔する.このとき,サボは変形して銃口を塞ぐことで,プロジェクタ外に放出される火薬ガスを最小限に留める役割も持っている.上部ホーンには,小さな弾丸通過口があり,弾丸はこの通過口を通過して,下部ホーンの中心付近に着弾するように設計されている.はやぶさ2で使用される弾丸は,サンプルの化学分析に影響を及ぼさないようタンタル製弾丸が用いられている.弾丸の質量は 5 g,直径は 8 mm(衝突面は球形),弾丸射出速度は 300 ± 30 m/s である.この衝突条件は,強度のある岩石や金属でも破砕できるようにはやぶさ初号機で設定されたものであり,様々な種類のターゲットに対応できるよう,はやぶさ2のプロジェクタでも引き継がれた.

サンプルが収納されるサンプルキャッチャは,探査機内部にある円筒形の小型の容器であり,その内部は 3 室に隔てられている.はやぶさ2では,サンプリングのチャンスが三回あり,それぞれで異なる部屋にサンプルを収納できるように作られている.キャッチャは上部ホーンの上端に設置されており,小惑星表面から~1.3 m の高さにある.小惑星表面からホーン内壁を反射,上昇してきたサンプルは,キャッチャ入口にある 45 度に傾いた反射板に当たることで,進路が横向きになり,キャッチャ中に格納される.上部ホーンには,大きなサンプルが詰まる可能性を排除するために 10 mm の目のフィルターが設置されている.よって採取可能な最大粒子サイズは 10 mm という制約がある.
 

3. 実験手法

小惑星レゴリスからのサンプル採取量・採取効率を明らかにするために,本研究では,レゴリス試料採取実験およびクレーター形成実験を実施した.ともに宇宙航空研究開発機構(JAXA)相模原キャンパスに設置された衝突実験施設で実施された.
 

3 - 1. レゴリス試料採取実験

小惑星レゴリスからの粒子回収量・効率を推定するために,フライトモデル(FM)相当のサンプラーホーンおよびプロジェクタを用いた小惑星レゴリス模擬試料採取実験を実施した(図 2a).実験では,小惑星レゴリス模擬試料としてガラスビーズを用いた.上記のように,はやぶさ2で採取可能な最大粒子サイズには,10 mm 以下の粒子径という制約がある.実際のレゴリス粒子のサイズは,サイズ分布を持っていることが予想されるが,ここでは,モデルケースとして直径 φ 1 mm の均質なガラスビーズ試料を用いた.この粒子サイズは,弾丸直径より小さく,かつ個別粒子の挙動が十分識別可能なサイズである.また,mm サイズの粒子がサンプリング可能かどうか明らかにするという目的がある.さらに,粒子径による採取量の違いを比較するため,300 μm サイズのガラスビーズ試料でも同様の実験を行った.
 

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図 2. レゴリス試料採取実験:(a)サンプリング装置が入った真空チャンバとチャンバ内部の装置模式図.点線矢印は弾丸の軌道を示す.チャンバ内の圧力は~40 Pa に保たれている.(b)アクリル製のサンプラーホーン写真.弾丸,サンプラーホーンとも FM サイズの 40 % のサイズ.
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小惑星上でのサンプリングは,微小重力下で実施される.一方地上では,小惑星上での微小重力を模擬するために,落下塔や航空機実験などを用いて微小重力実験が実施されてきたが[7],高コスト,実験設備の制約のため,十分な実験数を系統的に実施することは難しい.そこで本研究では,1 G 下における試料採取実験を系統的に実施し,微小重力でのサンプル採取量については,過去実施された微小重力実験の結果を用いて外挿することとする.本研究の 1 G で得られた試料採取量は,小惑星での試料採取に比べ,厳しい環境条件での試料採取量となるため,微小重力下では試料採取量は向上することが予想される.ガラスビーズは直径 φ 250 mm,深さ 250 mm の試料容器(A)に充填され,下部ホーン直下に設置された.この容器直径は下部ホーン口径よりも大きくなっている.下部ホーン口径は,FM と同じ 138 mm である.放出された粒子の内,下部ホーン口径の内側の領域で放出されたものが,採取対象となる.放出粒子は下部ホーン壁面と衝突したのち,一部が上部ホーンへと到達する.上部ホーン入口の径は 117 mm となっている.使用した試料のバルク密度は 1 mm,300 μm ともに~1500 kg/m3 であり,空隙率は 39 ± 1 % である.

弾丸は FM 相当のタンタル製で先端形状が球形で直径 8 mm,質量 5 g のものを使用した.サボも FM 相当品を使用した.また,参考のため,実験では密度の異なるステンレス製の弾丸(直径 8 mm,質量 5 g)も使用し,結果を比較した.弾丸・サボを装填するプロジェクタは,真空チャンバ内に冶具により固定された(図 2a).エネルギーによる採取量の違いを調べるため,弾丸速度は 100~300 m/s まで変化させて実験を行った.真空チャンバ内にサンプラーホーン(形状,材質は FM 相当)も設置され,弾丸が下部ホーン直下に置かれたガラスビーズ試料の中心に着弾するようサンプリングシステムが組み上げられた.実験は真空下で行い,真空チャンバ内は 40 ± 10 Pa に保たれた.また,キャッチャも上部ホーン上端に設置された.キャッチャの入り口径は,FM と同じく 20 mm となっている.キャッチャの一部をアクリル窓にし,キャッチャ中に飛び込んでくるガラスビーズ粒子のその場観測を実施したのち,採取された粒子個数および収量の計測を実施した.その場観測には,高速度カメラ(IDT NR4;撮影速度 3000 f.p.s.)を用い,光源としてメタルハライドランプを用いた.キャッチャ内に侵入する粒子のその場観測から,着弾後,粒子がどのようなタイミングで採取されるのか明らかにすることが可能となる.キャッチャは FM 同様,下部ホーンの下端から,1.3 m の高さに設置されている.

上記のレゴリス試料採取実験で使用しているサンプラーホーンは,ホーン材料を FM 同等品(Al 製)とした.そのため,ホーン内での衝突現象,粒子挙動が観察できない.そこでアクリル製のサンプラーホーンを用いて,ホーン内での粒子挙動を観察した.実験では,FM サイズを 40 % にスケールダウンしたものを使用し(図 2b),高速度カメラ(IDT NR4,NAC GX-8F)を用いて,ホーンに衝突後の粒子運動や壁面の影響を観察した.
 

3 - 2. クレーター形成実験

はやぶさ2のサンプリングシステムを用いたサンプル採取量や採取効率を明らかにするためには,着弾により形成されるクレーターから放出される粒子の詳細な挙動を知ることが必要である.そこで,個々の放出粒子の挙動を詳細に調べるため,クレーター形成実験を行った(図 3a).はやぶさ2の弾丸はタンタルであるが,弾丸密度のクレーター形成過程への影響を調べるため,実験では直径 8 mm のタンタル,ステンレス,アルミニウム弾丸を用いた.衝突速度はいずれも 220 ± 30 m/s で実施した.試料は,レゴリス試料採取実験と同じ φ 1 mm ガラスビーズ(バルク密度,空隙率とも同じ)を用い,直径 φ 350 mm,深さ 250 mm の試料容器(B)に充填された.試料容器(B)の直径はレゴリス試料採取実験で使用した試料容器(A)より大きくなっているが,これはクレーター形成過程を下部ホーン直径以上観察するためである.
 

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図 3. クレーター形成実験 : (a)実験装置模式図.試料および火薬銃は真空チャンバ中に設置されている.チャンバ内の圧力は~ 40 Pa に保たれている.(b)粒子放出の様子,左がスリットがない場合,右がスリット がある場合の粒子放出の様子.左右とも衝突後 2.5ms 経過時のスナップショット.(c)ターゲットに形成されたクレーター写真.容器直径は 350 mm.
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クレーター形成過程における粒子放出のその場観測を行うため,高速度カメラを用いて,粒子運動を観察した(IDT NR4;撮影速度:6000 fps).背面から光源で照らすシャドウグラフ法を用い,個々の粒子の運動を明らかにした.放出するイジェクタはイジェクタコーンと呼ばれ,クラウンリングのような形状をしている.そのため,二次元での撮像では手前方向,奥方向に粒子が放出し,クレータリング時の粒子放出の振る舞いが分かりにくい.これを解決するため,ターゲット容器表面に 5 mm のスリットを空けたアルミ板を設置した.スリットが直接粒子放出に影響を及ぼさないようにするため,ターゲットから 10 mm 上部に離して設置した.スリット板をつけることで,手前方向,奥方向に粒子の放出が抑えられ,イジェクタコーン断面のみのデータを得ることができる.つまり,スリットを付けることにより,イジェクタコーンの内側の粒子一つ一つまで挙動を観察することが可能となる.

図 3b はクレーター形成実験のその場観測のスナップショットである.図 3b 左は,スリットがない場合であり,スリットなしのため手前,奥方向に粒子が放出しており,イジェクタコーンの内側の粒子まで解析できない.しかし図 3b 右において,スリット板をつけることによりイジェクタコーン断面が観察でき,個々の粒子を解析しやすくなっていることが分かる.スリット幅は,ガラスビーズ粒子直径の5倍である 5 mm とし,スリットは撮像方向に平行になるように設置された.ここで,イジェクタコーンを側面側(撮像方向から 90° の方向)から見た場合,イジェクタコーンの広がりは最大で約 30 度の幅を持っている.この角度の広がりが,解析時の手前,奥方向への速度誤差となる.得られた二次元画像解析より,粒子の放出挙動を,衝突点からの距離に応じてターゲット粒子を時間ごとに一点ずつ追いプロットし,座標データを計測した.そこから,個々の粒子の放出角度,放出速度,弾丸衝突点からの放出位置の三つのパラメータを求めた.粒子の放出角度とは,ターゲット表面から測った,表面と放出粒子軌道のなす角を示す.図 3c に実験後,1 mm ガラスビーズターゲットに形成されたクレーターの一例を示す.
 

4. 結果および議論

4 - 1. レゴリス試料採取実験

はやぶさ2による小惑星サンプル採取の推定には,タンタル弾丸による小惑星レゴリスへのクレーター形成時の粒子の振る舞いを明らかにする必要がある.そこで,各粒子の放出位置に対する放出速度および放出角度について調べた.図 4a は,無次元化した放出速度と放出位置の関係を示している.この関係式は以下のように書き表せる.

v は破片速度,g は重力加速度,R は最終クレーター半径,x は放出位置を示す.また,k と ex は定数である[15].本研究では,スリット法を用いて得られたイジェクタ断面での粒子挙動を調べた.クレーター形成時,スリット板により覆われた部分の粒子はターゲット表面から放出した後,表面から 10 mm 上部に設置された板で抑えられるため,結果的にクレーター外に放出されない.そのため,スリット法を用いた場合のクレーターの大きさは,スリットがない場合と比較して見かけ上小さくなる.そこで,(1)式で用いる最終クレータサイズRには,同衝突条件で行ったスリットを用いないクレーター形成実験で得られた最終クレータサイズの結果を用いた.

ここで,タンタルの密度は,ターゲットのバルク密度と比較して,16.7 g/cm3 と非常に高密度である.これは,ステンレス密度のほぼ 2 倍であり,そのような高密度弾丸について,現在まで放出粒子に対する弾丸密度の影響はほとんど明らかになっていない.先行研究では,弾丸密度と放出粒子の関係を明らかにしたものがある[13].Hermalyn and Schultz(2011)は,ポリプロピレン(密度 0.9 g/cm3)からステンレス(密度 7.8 g/cm3)まで密度の異なる弾丸を用いたクレーター形成実験を実施したが,高密度の弾丸ほど,衝突点近くからイジェクタが放出する傾向にあり,さらに同じ放出位置でも,高密度の弾丸ほど放出速度が低い傾向にあった.本研究でも,弾丸密度の影響を明らかにするため,はやぶさ2で使用する弾丸であるタンタルに加えて,ステンレス,アルミニウム弾丸を用いてクレーター形成実験を行った.三種類の弾丸すべてで,粒子の放出速度は,放出位置に依存し,衝突点から離れるにつれて減少する傾向にあった(図 4a).弾丸の密度で比較した場合,Hermalyn and Schultz(2011)の結果と同様に,低密度のアルミニウム弾丸に比べ,高密度弾丸の方が,粒子放出位置の始まりが衝突点に近いが,タンタルとステンレス弾丸では,放出位置に大きな違いは見られなかった.また,放出速度に関して,x/R が 0.1 以下の比較的衝突点に近い位置では,アルミニウム弾丸とタンタル,ステンレス弾丸では違いが見られ,アルミニウム弾丸の方が,規格化速度が高くなる.タンタルとステンレス弾丸では,x/R が 0.05-0.2 付近でわずかにステンレス弾丸の方が速いが,明確な違いは認められなかった.衝突点から離れ,クレーター形成のメインステージに移行するにつれ,弾丸密度による違いが見られなくなり,破片速度分布が収束する結果となった.ここで,本研究で得られたアルミニウム弾丸の k と ex の値(k = 0.57,ex = 1.58)は,Cintala et al.(1999)のアルミニウム弾丸を用いた結果と比較的良く一致している[10].一方,タンタル弾丸およびステンレス弾丸では,k と ex の値が~0.6,~1.2 となることが分かった.以上より,弾丸密度による粒子挙動への影響は無視できないことが分かる.粒子の破片速度の値(図 4a)から,地上から~1 m 上部に位置するキャッチャまで届くことが可能な粒子は,地球重力下では,クレーター直径の 1/5 程度(x/R = ~0.2)以内となる.これは,ホーン口径にするとそのホーン口径の半分以下の位置の粒子しか採取できないことになる.一方,微小重力下の場合,ホーン壁面の位置までの粒子が採取可能となる.よって,微小重力での採取量は,地球重力下よりも多くなることが予想される.
 

次に放出角度と放出位置の関係を示す(図 4b).
 

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図 4. 放出粒子の挙動:(a)速度の無次元パラメーター vs. クレーター半径で規格化された衝突点からの距離 (b)放出角度 vs. クレーター半径で規格化された衝突点からの距離.実験誤差を調べるため,実験は同条件で複数回実施された.Ta,SUS 弾丸を用いた実験を各 3 回ずつ実施している.また,Cintala-1 および 2 は,[10]より引用したデータ.
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タンタル,ステンレス,アルミニウム弾丸では,それぞれ放出位置が衝突点から遠ざかるにつれ,放出角度が減少することが分かった.この傾向は先行研究でも見られる[10, 12].また,衝突点付近で放出角度が増加し,x/R が 0.05-0.07 付近で最大の放出角度になり,その後角度が減少するという実験結果も報告されている[13].これは,弾丸がターゲット中に潜り込むことにより,圧力の発生点が移動していることと関係があるかもしれないが,詳細についてはさらに議論する必要がある.本研究のタンタルやステンレス弾丸でも,x/R が 0.1 を下回るような衝突点に近い場所では,放出角度がほぼ一定もしくはわずかに増加傾向にあることが分かった.放出距離が衝突点から離れるほど,角度も 45° へと収束し,弾丸密度の影響が少なくなっていく結果となった.弾丸密度の影響に関して,高密度の弾丸では,衝突点近傍では,放出角度は 45° より~20° 大きいことが分かった.

破片速度の結果と比較して,破片角度ではデータのばらつきが大きいように見えるが,粒子の放出角度は,粒子間相互作用の影響が出やすく,粒子間衝突によって,放出粒子角度が変化する可能性も考えられる.また,本研究では,イジェクタカーテンの内側の放出粒子も解析しており,イジェクタカーテン断面の外側から内側までの粒子を合わせて図 4b 中に図示している.つまり,イジェクタカーテンは厚みを持つため,同じ放出位置から放出された粒子でも,イジェクタカーテン外側~内側に存在する粒子を含むことになる.同じ放出位置でも放出角度の違いが生じるのは,ターゲット中の初期位置を反映している可能性がある.

ここで,ターゲット表面から放出された粒子のすべてが採取対象とはならないことに留意したい.なぜなら下部ホーンの内径より外側のイジェクタ粒子は採取できないからである.小惑星表面がレゴリス層だった場合,形成クレーターサイズが下部ホーンサイズを上回ることが予想される.形成クレーターサイズが 1 G で形成されるクレーターサイズ程度の場合,図 4b では,x/R が 0.4 付近が下部ホーン内径となる.一方,微小重力の場合,クレーターサイズがさらに大きくなる可能性があるため,サンプル採取を考える上で,クレータ形成の初期段階における衝突点近傍の粒子挙動が重要となってくる.
 

4 - 2. サンプル採取量

はやぶさ2でのサンプル採取量を事前に予測することは,サンプリング地点の制約を与える上で非常に重要となる.小惑星表面状態は様々なケースが想定されるが,採取量を見積もるための出発点として,本研究では,サブ mm~mm サイズのレゴリス粒子を想定したガラスビーズを用い,サンプル採取量を調べた.加えた衝突エネルギーとそのときのサンプル採取量の関係を図 5 に示す.
 

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図 5. 粒子採取量 vs. 衝突エネルギー:(a)1 mm ガラスビーズの場合.点線ははやぶさ2での衝突エネルギーを示す.(b)300 μm ガラスビーズの場合.
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図 5(a)は,φ 1 mm ガラスビーズの採取量,図 5(b)は φ 300 μm ガラスビーズの採取量を示す.それぞれタンタル弾丸(Ta)とステンレス弾丸(SUS)による採取量が図示されている.φ 1 mm ガラスビーズでは,衝突エネルギーが大きくなるにつれ,採取サンプル量が増加することが分かる(図 5(a)).φ 300 μm ガラスビーズの採取実験は,衝突エネルギーが 100 J 付近でしか実施していないが(図 5(b)),衝突エネルギーを大きくすると,φ1 mmガラスビーズと同様に採取量が増加すると考えられる.φ 300 μm ガラスビーズでは,衝突エネルギーが 100 J 付近において,ステンレス弾丸による採取量のばらつきが大きいが,これは,φ 1 mm ガラスビーズでも見られる.φ 1 mm ガラスビーズでは,同一弾丸による同程度の衝突エネルギーでも採取量で 2~3 倍程度異なる場合がある.この誤差は,定性的には粒子間衝突や壁面衝突の確率によって生じるものと考えられる.今後さらに詳細な解析が必要である.

実験では弾丸質量はすべて同じであるため,衝突エネルギーは衝突速度の速さを反映している.実験範囲は 100 m/s から 300 m/s である.本研究で,はやぶさ2の衝突速度(300 m/s)よりも低速度領域においても実験を行った理由として,容器サイズの影響を調べるためであった.実験では,真空チャンバの大きさが制約となり,使用できる容器サイズに限界がある.そのため,はやぶさ2の衝突速度 300 m/s で実験を実施したとき,クレーターサイズが容器サイズに匹敵するため,形成クレーターが,容器壁面や底と干渉し,正確な採取量が得られない可能性があった.そこで,実際に 300 m/s で得られたサンプル採取量と,クレーター径が小さくなる低速度実験結果の外挿から得られたサンプル採取量を比較することで,容器サイズの影響を調べることとする.図 5a において,衝突エネルギーが 150 J までの採取量をはやぶさ2の衝突エネルギーである 225 J まで外挿したとき,予想される採取量は 103 mg であった.図 5a より,実際得られた 225 J 付近でのサンプル採取量は,~170 mg である.よって,高速度領域での採取量は実際より多い可能性がある.一方,低速度領域での容器サイズの影響を調べるために,300 μm ガラスビーズでは,直径 φ 250 mm,深さ 250 mm の試料容器(A)に加え,直径は同じで,深さを試料容器(A)の 3/5 にした試料容器(C)の 2 種類の容器サイズを用いて採取量を調べた(図 5b).図中の larger container,smaller container は, それぞれ試料容器(A)と(C)を示す.試料容器(A)は,1 mm ガラスビーズ採取実験で使用した容器と同じものである.容器の直径を同じにしたのは,容器を下部ホーン口径よりも大きくするためである.得られた実験の結果,容器サイズに関わらず,採取量に差違は認められなかった.よって,低エネルギーにおける採取量に対する容器サイズの影響はほとんどないものと考えられる. ここで,ターゲット粒径による回収量の違いを見ると,300 ミクロンガラスビーズの採取量の方が,1 mm ガラスビーズよりも3~4倍少ない結果となった.これは,1 mm ガラスビーズの方が採取個数は少ないが,粒子 1 個当たりの質量が 300 ミクロンガラスビーズと比較して~37 倍大きいため,相対的に採取量は多くなるためである.よって,mm サイズの粒子を採取することは,回収率を上げるためにも重要であると言える.また,ガラスビーズの採取量において,ステンレス弾丸の方が,タンタル弾丸と比較して採取量が多い結果となった.タンタル弾丸,ステンレス弾丸の採取量の違いを生むのは,何による違いであろうか.両者での粒子放出速度,角度には明確な差は見られていない(図 4).また,形成されるクレーターサイズもほぼ同じサイズであった.本結果について,今後解釈が求められる.
 

ここで,採取量は下部ホーン径によって制約を受けるが,深さ方向はどうであろうか.採取される粒子の深さ方向の初期位置を実験的に調べるため,本研究では,表層のガラスビーズに色をつけ,その色つき粒子がどのような収率で採取されるのかを調べた.色つきガラスビーズとして,無色のものと区別しやすいように,個々の粒子を黒色で着色し,表面に均等に散布した(図 6a).
 

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図 6. 色つきガラスビーズの採取実験:(a)実験模式図 (b)採取量に対する色つきガラスビーズの割合 vs. 衝突エネルギー.
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粒径は無色のものと同じく直径 φ 1 mm とする.黒色粒子層の厚みを見積もったところ,およそ 1.5 mm であった.よって,ほぼ表層一層が黒色粒子層ということになる.図 6b に採取実験により得られた黒色粒子と全回収粒子数の比と衝突エネルギーの関係を示す.使用した弾丸はタンタルとステンレスである.同程度の衝突エネルギーの場合,弾丸種類による採取比に大きな違いは見られない.一方,全体に含まれる黒粒子数の割合は,衝突エネルギーへの依存性が見られることが分かった.タンタル弾丸およびステンレス弾丸両者において,弾丸の衝突エネルギーが増加するにつれ,全体の回収量に対する黒粒子数の比が下がることが分かった.この結果は,エネルギーの増加とともに深い位置の粒子回収量が増加することを意味する.これらの結果より,はやぶさ2での衝突エネルギーでは,採取粒子中のおよそ 50 % が表層粒子の可能性があることが分かった.採取されるサンプルの深さ方向の初期位置は,小惑星上での宇宙風化の影響を評価する上でも重要となり,採取サンプルと初期深さの関係を詳細に議論していくことが求められる.

以上より,地球重力下であっても,1 mm 径のサンプル採取量が 100 mg を超える結果が得られた.微小重力では,これを超える採取量が期待される.なぜなら,地球重力下では,低速度の放出粒子は~1 m 上部にあるキャッチャまで到達できないため,衝突点からの規格化距離 x/R が~0.2 以遠の粒子は回収できないことになる(図 4a).さらに,サンプラーホーンの設計上,~45° で放出される粒子が採取されやすいが,x/R が~0.2 以内の高速度の粒子は,45° を超える放出角度を持つため,x/R が~0.2 以内の高速度の粒子でも,採取されにくい傾向にある.一方,微小重力下では,低速度の放出粒子もキャッチャまで到達でき,下部ホーンの端である x/R が~0.4 までの粒子が採取対象となる.そのため,サンプル採取量が地球重力下を上回る可能性が高いと言える. ここで,Yano et al.(2006)で得られた微小重力実験結果[7]から,地球重力と微小重力下でのサンプル採取量の比が実験的に分かっている.その比はおよそ数倍~10 倍程度であり,微小重力下で~1 g 以上採取できる可能性が示唆され,本研究結果と整合性が見られることが分かった.
 

5. まとめと今後の展望

小惑星探査機「はやぶさ2」が,小惑星 1999 JU3 からサンプル採取を実施するにあたり,2018年の小惑星到着までに,想定される様々な小惑星表面からのサンプル採取過程・採取量を明らかにすることが必要である.本稿は,mm サイズの粒子径を持つ小惑星レゴリスを仮定し,そのサンプル挙動や採取量を推定するため,はやぶさ2のサンプリング環境を実験的に模擬し,クレーター形成時の粒子挙動について調べた.実験結果から球形粒子の場合,採取量は 100 mg を超えることが期待される.また,実験で得られた粒子速度から,地球重力下で採取できない低速度の粒子についても,小惑星微小重力では採取できることが予想される.さらに,低速度の粒子には,サンプラーで採取量が多く見込める 45° の放出角度を持つ粒子が多くあるため,採取量がより多く見込めるということが明らかとなった.本稿でのサンプル採取条件は,地球重力下で実施したものであり,採取条件として非常に厳しい条件下でのサンプル採取量を明らかにすることができた.このことより,はやぶさ2によるサンプル採取量の下限値を与えることができたと言える.しかし,注意すべき点として,実際の小惑星レゴリス粒子は,ガラスビーズ粒子よりも空隙率が高く,いびつなことなどから,粒子間の摩擦力が高いと予想される.今後,実際のレゴリス粒子に近いターゲットを用い,採取量に制約を与えることが求められる.

さらに,多様なサイズ分布や空隙率など,想定される様々な小惑星表面での採取量を系統的に見積もることは,課題の一つである.このとき,サンプル採取量を定量的に見積もるためには,微小重力環境を模擬する必要がある.しかし微小重力環境を模擬したサンプル採取実験を,様々な小惑星表面を想定して系統的に実施することは,コストおよび施設の点で難しい.そこで,サンプル採取量を数値シミュレーションにより明らかにすることが有効な手立てとなる.我々は今後,実験的に明らかになった個々の粒子運動を初期値とし,微小重力環境下での個々の粒子運動を解析し,サンプル採取量を見積もる予定である.また,本稿では詳細に記載しなかったが,ホーン内での粒子の運動について実験的に可視化しており,ホーン内での挙動と今後実施する数値シミュレーションでの粒子挙動を比較し,精度の良い数値モデルを作ることを目指している.

さらに,小惑星上でのサンプル採取量の推定をより詳細に行うために,小惑星表面の傾きやホーンの変形に対する粒子の振る舞いを考慮していく必要がある.小惑星への接地時間は,タッチダウン検出からおよそ1秒であり,本稿で示した m/s 以上の粒子の多くは,探査機が上昇するまでにキャッチャまで到達すると考えられる.タッチダウン後のホーンの変形の影響について,放出粒子のうち,高速の粒子については,ホーン変形の少ない初期段階で,上部ホーンまで到達することが見込まれる.一方,~1 m/s 程度の粒子についてはホーン変形の影響を考慮する必要がある.また,斜面が大きく傾いている場合,粒子とホーン壁面間の衝突角度は,斜面が水平の場合とは異なるため,サンプル採取量が小惑星斜面角度とどのような相関を持つのかを明らかにする必要がある.以上より本研究では,小惑星環境を系統的に変化させ,はやぶさ2による様々な環境下でのサンプル採取量を推定していくことを予定している.
 

謝辞

本研究を進める上で,宇宙航空研究開発機構の矢野創博士,長谷川直博士には大変有益なアドバイスをいただきました.また,査読者の藤原顕博士には的確なコメントやご指摘をいただき,御礼を申し上げます.なお,本稿の実験は,宇宙航空研究開発機構スペースプラズマ共同利用に基づき実施させていただきました.ここに深く感謝いたします.
 

参考文献

[1] Ebihara, M. et al., 2011, Science 333, 1119.
[2] Tsuchiyama, A. et al., 2011, Science 333, 1125.
[3] Nagao, K. et al., 2011, Science 333, 1128.
[4] Tsuda, Y. et al., 2013, Acta Astronautica 91, 356.
[5] Tachibana, S. et al., 2014, Geochemical Journal 48, 571.
[6] Yano, H. et al., 2003, Proc. Asteroids, Comets, Meteors 2002 ESA-SP500, 103.
[7] Yano, H. et al., 2006, Science 312, 1350.
[8] Binzel, R. P. et al., 2001, Icarus 151, 139.
[9] Okamoto, C. et al., 2013, Proc. Lunar Planet. Sci. Conf. 44th, #2981.
[10] Cintala, M. J., et al., 1999, Meteoritics & Planetary Science 34, 605.
[11] Yamamoto, S. et al., 2009, Icarus 203, 310.
[12] Wada, K. et al., 2006, Icarus 180, 528.
[13] Hermalyn, B. and Schultz, P. H., 2011, Icarus 216, 269.
[14] Yada, T. et al., 2014, Meteoritics & Planetary Science 49, 135.
[15] Housen, K. R. et al., 1983, Journal of Geophysical Resarch 88, 2485.



Akira IMOTO

Editorial Chief, Executive Director and Board of Director for The Planetary Society of Japan

Web edited : A. IMOTO TPSJ Editorial Office