寺薗淳也氏からの寄稿
カール・セーガン没後20周年 - 寺園淳也
 


カール・セーガン博士が亡くなったときに、私も『遊・星・人』に寄稿しました(しかしなぜかその原稿がみつからないという)。

私がこの世界に入るきっかけになったのは、やはり彼のテレビ番組「COSMOS」(もちろん、書籍も含め)の影響が大きかったと思います。最新の惑星科学をあれほどビジュアルにみせた番組はそうそうなかったと思いますし、彼の紹介者としての才能も素晴らしいものがあったと思います。でなければ、中学2年の私が、夜10時にテレビの前に釘付けになったりはしていなかったでしょう。

ときは流れて、やがて私自身がいつの間にか「惑星科学」という、彼が切り開いた道の後ろに続くことになり、さらに彼が進めてきた「科学を一般の人に」というアウトリーチの世界へと進むことになりました。
別にセーガン博士を意識したわけではないと思うのですが、気がついたら似たような進路をたどっていた、ということです。もちろん、「日本のカール・セーガン」(←ん、誰かそんなキャッチフレーズの人が国立天文台にいたような)には到底及びませんが、おそらく「気がついたらその方向を目指している」ということには変わりないと思います。
さらに、彼が身を捧げたもう1つの方向、いわゆる疑似科学や陰謀論との戦いにも期せずして参戦することになります。

実家にはいまでも、ボロボロになった「COSMOS」上・下巻が残っています。先日機会があって手に取ったのですが、当時通学途中ずっと持ち歩いていて、読み込んでいたため、表紙が取れそうになっていて扱うのに苦労しました。
改めて、自分が今いる原点はここなのだ、ということを、その本から知ることになりました。
 

for Carl.

December 20, 2016
寺園淳也