The Planetary Society of Japan

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IMAGE LIBRARY 太陽系 - Solar System

Modified: December 03, 2016

Venus - 金星

「明けの明星」や「宵の明星」として親しまれている金星は、地球から最も明るく見える惑星である。しかし、いつも厚い雲に覆われているのでその中を覗くことは難しい。地球では太陽光が赤外線となって宇宙に放出されるが、金星では大気中の二酸化炭素が温室の働きをするため、輻射熱の約半分が閉じ込められるために温度がどんどん上昇し、猛烈な温室効果が生じている。地表の気温は 470 ℃ と、鉛も溶けてしまう太陽系で最も熱い惑星である。しかも、気圧は地球の 90 倍もある。金星は、大きさと質量が似ていることから地球と双子の惑星と言われているが、実際は火山と溶岩に覆われた灼熱地獄の天体である。

金星は他の惑星とは反対の方向に自転している。1回自転するのに 243 地球日かかるので、金星の1日は1年(約 225 地球日)より長い。
 

 

金星の雲

左は1979年02月05日、探査機パイオニア・ビーナス1号が紫外線で撮った金星を覆う厚い雲の画像である。金星の表面は、腐食性の強い硫酸の水滴で出来た厚い雲で永遠に覆われている。

中央は1995年01月24日、地球から 7060万 km の距離にある金星をハッブル宇宙望遠鏡が撮影した紫外線画像である。明るい領域は雲を覆う細かい粒子の靄の層で、濃い領域は金星の雲の最上層近くに漂う二酸化硫黄(亜硫酸ガス)の層である。金星の雲は風に吹かれて東から西に移動し、4日で金星を一周する。

右は1990年02月10日、探査機ガリレオが高度約 10万 km から近赤外線で撮影した金星の夜の領域である。画面の上下で一際映える細長い部分は、太陽光を浴びて輝く高層雲である。画面の黒い領域は、金星の表面から 50~55 km 上空で渦巻く中層雲である。中層雲は高層雲の約 10~16 km 下にある。表面の赤色は、硫酸の雲を突き抜けた放射熱を受けて輝く下層雲である。赤道付近の雲は、ふわふわした塊のようになっているが、北上するにつれて東西に糸状に細長く延びる。この雲は秒速 70 km の速度で移動する。南北の両極は厚い雲のに覆われている。
 

 

金星の雲の模様

左は1990年02月15日、金星に最接近した5日後に探査機ガリレオが、金星から 270万 km 離れた距離から紫色のフィルターを使って撮った画像である。画像の解像度は約 70 km。画面右の明るい部分は、太陽が真上から照り付ける昼間の領域である。画面左のダークブルーの部分は、昼と夜を隔てる明暗境界線である。金星の赤道では、硫酸の雲が秒速約 100 km の速度で西に向かっている。

右は雲の様子を更にはっきりさせるために広域濾波フィルターを使って撮った画像である。南北の両極を覆う厚い雲が見える。
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金星の地表

1982年03月21日、旧ソ連の探査機ベネーラ13号は金星に着陸して途方もない高温と高圧に耐え、約1時間30分間金星の地表を撮影した。2枚のパノラマ画像に写し出された地表は、平板状の火山性の岩がごろごろしている不毛地帯であった。厚い硫酸の雲のため、地表ははオレンジがかって見える。画面の前景にはベネーラの一部が見える。

上の画像には、捨てられた探査機のカメラのキャップが写っている。金星に最初に着陸したのはベネーラ9号である。この他10号と14号が金星に着陸して地表の撮影に成功したが、いずれも黒白の画像であった。従って、2枚のカラー画像は貴重な記録である。1961年02月から1983年06月まで続けられたベネーラ・ミッションでは、合計16機が打ち上げられた。
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金星の地殻運動

金星の地殻運動の一つに、巨大な円形構造を造ったと考えられているプリュームテクトニクスがある。一方、マックスウェル山などの褶曲山脈は、地球と同じプレートテクトニクスによるものと考えられている。どちらの地殻運動が支配的なのか、今後の地表の調査まで待たねばならない。
 

金星の地形図

左は探査機パイオニア・ビーナス、右は探査機マゼランのデータをもとに作成された金星の地形図である。画面上の中央に見える黄色の部分がイシュタール大陸、その右下に見える細長い部分がアフロディーテ大陸である。金星の 60 % は平原が占め、高地は 13 %、低地は 27 % である。

イシュタール大陸は幅 1万3,200 km で、オーストラリアに匹敵する。アフロディーテ大陸は赤道地帯にある幅 1万3,900 km の金星最大の大陸である。幅は 1万3,900 km で、アフリカ大陸の半分に相当する。
 

 

アルファ・レジオのコロナ

探査機マゼランのデータを元にコンピュータ・シミュレーションで作成された、アルファ・レジオのコロナの立体画像である。金星の南緯 30 度、東経 11.8 度に位置する。

画面は直径 25 km 、高さ 750 m の通称パンケーキと呼ばれるコロナの連なりである。コロナは、地球で見られるような粘性の高い溶岩が高速で流れ出して形成したのか、地下のマグマのプリュームが地表を押し上げて形成したのかのいずれかによるものと考えられている。
 

 

コロナの溶岩流

グラ・モンス(火山)から 150 km 離れた直径 97 km のコロナである。黄色く見えるのは、コロナから流れ出て背景の亀裂ができた平原を横切った、長さ数百 km の溶岩流の跡である。
 

 

グラ・モンス(火山)

画面の水平線上に見えるのは高さ 3,000 m のグラ・モンスである。金星の北緯 22 度、東経 359 度に位置するアイステラ・レジオにある。画面の前方に見えるのは、直径 48.5 km の衝突クレーターである。
 

 

マート・モンス(火山)

マート・モンスは、アフロディーテ大陸の東端に位置する標高 8,000 m の火山である。火星の北緯 0.9 度、東経 194.5 度に位置し、エベレストを凌ぐ標高 1万メートルのマックスウェル山(イシュタール大陸)と並ぶ火星を代表する山脈である。
 

 

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