About Psyche アリゾナ州立大学 (ASU)


プシケ(16 Psyche)とは、火星・木星の間にある太陽を周回する小惑星の名前であり、その小惑星を探査する ASU のプロジェクト名です。このミッションは、2017年1月4日にNASAが太陽光電気推進システム構築を目標とした一連の低コストミッションコンペである、ディスカバリープログラムの二つのミッションの内の一つとして採択されました。

Psyche 探査機は、2022年の夏に打ち上げられ、2023年に火星フライバイによる重力アシストの後、太陽電気(低推力)推進を使用して2026年にプシケに到着することを目標としています。
 

Journey to a Metal World


 

小惑星プシケ(Psyche)

16番目に発見の小惑星として、1852年にイタリアの天文学者 Annibale de Gasparis が発見し、古代ギリシャ神話の魂の女神の名前を付けました。

小惑星プシケに大きな科学的興味を与えるのは、それが金属で構成されているということです。これは、太陽の惑星系の構成要素の一つである原始惑星の露出したニッケル鉄コアであると思われます。探査機プシケによって科学者たちは初めて、岩石や氷ではなく金属でできた世界を探求します。

小惑星は、太陽系が形成されていたときに共通する複数の破壊的な衝突のなかでの生存者と思われ、このことからプシケは地球の核や他の岩石惑星の核がどのように形成されたのかを教えてくれるかもしれません。

これまで私たちが探査してきた世界には、氷や岩、ガスの表面がありました。プシケは今までに探査されたことのない金属世界を初めて訪れる宇宙機となるでしょう。地球を含む岩石惑星の深部では、科学者は金属コアの存在を推測していますが、これらは惑星の岩石のマントルや地殻の直下までは届かないところに位置しています。我々は地球の核を直接見ることも測定することもできないので、小惑星プシケは、原始に惑星を作り出した衝突と爆発の激しい歴史の独特のウィンドウを私たちに提供してくれます。
 


 

小惑星プシケは、3 AU(地球を「1」とした太陽からの距離単位)の平均距離で、小惑星メインベルトの外側部分の軌道を周回しています。

小惑星の形成としてはプシケは比較的大きく、279 x 232 x 189キロメートル(173 x 144 x 117マイル)の不規則な形をしています。 プシケが完全な球形に置き換えた場合、直径 226 km(140 マイル)程度で、これはマサチューセッツ州の長さに匹敵します。約 641,800 平方キロメートル(246,300 平方マイル)の表面積を有し、テキサス州の面積よりは小さいですが、カリフォルニア州の面積よりかなり大きいものです。

プシケは密度が高く(おそらく 7,000 kg / m3 の密度)、ほとんどがニッケル鉄の金属でできています。太陽系内で、唯一原始太陽系の金属核を探査できる天体なのです。

プシケの形成過程のシナリオとしては、形成初期に激しいインパクトにより、金属コアと岩石マントルに分離した原始惑星なのか、あるいは、想像もつかない、より珍しい何らかのプロセスを経た生存者なのかが考えられます。小惑星プシケを探査することにより、地球、火星、金星、水星などの岩石惑星の惑星形成についての謎を教えてくれるかもしれません。

Psyche ミッションの科学的目標は、これらの惑星形成において層状構造を理解し、全く新しい未踏の世界を直接体験することにあります。ミッションチームは、プシケが本当に原始惑星の核なのか、それが何歳になるのか、それが地球の核と同様な過程で形成されたのかどうか、そしてその表面がどのような組成なのかを判断しようとしています。
 


 

原文 : Psyche Journey to a Metal World