カッシーニ探査機 : 土星の間欠泉衛星が、近接フライバイの画像で輝く

NASAのカッシーニ探査機が土星の衛星エンケラドスの最新画像を送信しはじめた。エンケラドスは氷でできた地質学的に活動的な衛星だ。カッシーニの画像は、10月28日に行われた劇的なフライバイの間に得られたものだ。そのとき探査機は、衛星の南極地域の上空およそ30マイル(49 キロメートル)を通過した。探査機は今後数日間、フライバイ時のデータを送ってくる。
 

土星の衛星エンケラドスのこの未処理画像は、2015年10月28日の氷衛星への最接近フライバイのときに、NASAのカッシーニ探査機によって得られた。
Image credit: NASA/JPL-Caltech/Space Science Institute
 

「カッシーニの驚くべき画像から、私たちは超接近フライバイでのエンケラドスの姿をざっと見ることができます。しかし最もエキサイティングなサイエンスのいくつかはまだ届いていません」。カリフォルニア州パサデナにある NASA ジェット推進研究所のミッションのプロジェクト・サイエンティストである Linda Spilker はそう語った。

研究者は間もなく、カッシーニのガス分析装置と塵検出器からのデータの検討を開始する。それらの機器はフライバイの間に、ガスと塵サイズの氷粒子からなる衛星からのプリュームの試料を直接採取した。それらの分析には数週間を要しそうだが、エンケラドスの地下にある全球的な海の組成について、そして海洋底でおきている何らかの熱水活動についての重要な見識をもたらすはずだ。

この小さな海洋世界で、そのような活動がおきている可能性があることからエンケラドスは、太陽系において地球以外で居住可能な環境を探し求める将来的な探査の最重要ターゲットとなっている。

処理された画像に加え、未処理あるいは「生(なま:raw)」の画像が、以下のカッシーニミッションのウェブサイトに載っている。
Enceladus Flyby 'E-21'

カッシーニによる次の、そして最後となるエンケラドスへのフライバイは、12月19日に行われる。そのとき探査機は、衛星内部からの熱量を計測する。フライバイ時の高度は 3106 マイル(4999 キロメートル)になる。
 



Akira IMOTO

Editorial Chief, Executive Director and Board of Director for The Planetary Society of Japan

Japanese Translation : A. IMOTO TPSJ Editorial Office