カッシーニ探査機 : タイタンとの永遠の別れ

カッシーニ探査機は今週末、土星衛星タイタンへの最後のフライバイを行います。カッシーニは、霧煙るタイタンの北極地域に広がるメタンの湖と海を徹底的に観察し、最後の機会となる今回は、強力なレーダーを使って霧状の表面下の詳細な画像データの取得を目指します。
 

カッシーニ探査機は、4月21日にタイタンフライバイを行い、グランドフィナーレに向けた土星接近軌道へと調整され、その際、タイタンの最終近接観測を行います。
Image credit: NASA/JPL-Caltech
 

タイタンへの最接近となるアプローチは、4月21日午後11時8分(PDT)に予定されています。カッシーニはタイタンの表面から約608マイル(979キロメートル)上を時速約13,000マイル(21,000キロメートル)の速度で通過します。

このフライバイは、カッシーニのグランドフィナーレへのエピローグでもあります。土星とその最内リングの間を周回し、最後の22周回目の軌道で、9月15日に土星に突入し、ミッションを終了します。 4月21日のクローズド・パスの際、タイタンの重力は土星リング外側を周回するカッシーニの軌道を曲げ、リングの内側を通過するフィナーレ・ダイブの開始へと導きます。これは惑星探査史上最高度のミッションと言える瞬間です。また、カッシーニ探査機にとっては最後のタイタンとの「逢瀬」になるものです。
 

Crazy Engineering: Astrodynamics

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今回の最後のフライバイは、カッシーニにとって127回目のタイタンとの出会いです。設定されたフライバイは、エンジンおよびスラスタを使用して確実な軌道を得ることを目指します。この過程を経てもまだタイタン観測は端緒の域を出ないとも言えます。今後のさらに深化した探査が必要であることは言うまでもありません。

カッシーニ搭載のレーダー機器は、タイタンのメタン湖と海の変化を探索し、タイタンの小さな湖の深さと組成を研究する最初で最後の観測を試みます。さらにレーダーによる探索は、タイタンの「魔法の島 ” magic island ” 」の最終的な探査ミッションを行います。これは、複数回行ったフライバイの間に形状が変化することを確認した神秘的な特徴を持つオブジェクトの一つであり、科学者はその特徴が、波、泡、浮遊物等、どのような仕組みかを判断するための、さらに深い観測データの取得を期待します。

カッシーニ探査機による最後のタイタンフライバイについての詳細 :
Titan Flyby T-126: Final Close Encounter, Gateway to the Grand Finale
 



Akira IMOTO

Editorial Chief, Executive Director and Board of Director for The Planetary Society of Japan

Japanese Translation : A. IMOTO TPSJ Editorial Office