カッシーニ探査機 : 運命的な最後のタイタンフライバイが終わった

NASA カッシーニ探査機は、曇状の衛星タイタンへの最後のフライバイを行い、これにより土星のリング内側を周回する22の軌道の最終的なセッティングを行った。
 

04月21日(PDT)のクローズ・フライバイで捉えた、未処理のタイタン画像。雲状の大気により濁って見える。
Image credit: NASA/JPL-Caltech
 

カッシーニ探査機は、タイタンの表面から約 608 マイル(979 キロメートル)の高度を、04月21日午後11時8分(PDT)に通過し、127 回目の最終接近を行った。

探査機はフライバイの後、タイタンの画像やサイエンスデータの地球への送信を終えた。探査機搭載のレーダーによる観測を行った科学者たちは、タイタンの北極域を横切って広がる「メタンの海と湖」の新たに得たレーダー観測データ、最新画像を分析中だ。
予定されている撮影範囲には、カッシーニ搭載の画像カメラで以前に見られた領域も含まれるが、今回のレーダー観測は、タイタンの小さな湖の深さと組成を初めて調査し、研究者が「魔法の島」と呼ぶ領域の進化(変化)を解明することにある。

JPL のミッションプロジェクト科学者である Linda Spilker 氏は、「これまでにカッシーニ探査機がタイタンから収集した膨大なデータは、私たちの後ろにあるけれど、、、」と語った。
 

グランドフィナーレへのゲートウェイ

タイタンフライバイは、カッシーニ探査機をグランドフィナーレと呼ぶ劇的な最終ミッションへの軌道に入れた。探査機がタイタンを通過した際にタイタンの重力は、土星のメインリングの外を通過する軌道から土星表面と最も内側のリングへの軌道へと導いた。カッシーニは04月26日にリングと惑星の間で一連の 22 回に及ぶダイビングを開始する。ミッションは09月15日に豊富なサイエンスデータ取得を期待される土星の大気圏に突入することが決まっている。

JPL カッシーニプロジェクトマネージャー、Earl Maize 氏は、「このフライバイがグランドフィナーレを確定した。探査機は土星に向かう弾道にある。何があっても09月15日には土星の大気圏に入るだろう」と語った。

カッシーニは、タイタンとの近距離スイングバイから、土星との相対速度を約毎秒 860.5 m の速度の大きな増加を受けた。

カッシーニはタイタンスイングバイの後、04月22日の午後08時46分(PDT)に土星の周回軌道のアポカートと呼ばれる最遠点に到達した。技術的には、この時点でグランドフィナーレ軌道の開始であるが、フィナーレの興奮は04月26日(PDT)に本格的に訪れる。

カッシーニの最初のフィナーレ・ダイビングは、04月26日午後02時(PDT)に開始される。探査機はダイビングが終了する約一日の間、土星に最も近づくところから科学観測を始める。地球との初期通信については、04月27日午前12時05分(PDT)を予定している。画像やその他のデータは、通信が確立された直後に流れ始めるはずだ。
 

NASA VR: Cassini's Grand Finale (360 view)


 

新しいナレーション付きの360度アニメーションビデオは、カッシーニと共にグランドフィナーレ・ダイビングを行い、それがどのようなものかを視聴者に体感させようというもの。

画像とビデオのリソースを含むカッシーニのグランド・フィナーレについての詳細情報は、
The Grand Finale Toolkit

カッシーニの最終的なタイタンフライバイについての詳細は、
https://go.nasa.gov/2nFHaTo
 



Akira IMOTO

Editorial Chief, Executive Director and Board of Director for The Planetary Society of Japan

Japanese Translation : A. IMOTO TPSJ Editorial Office