NASA オポチュニティ : 新たな指令を投入


NASA JPL ジェット推進研究所の通信チームたちは、すでに火星に降り立って15年を経たオポチュニティに対し、目覚めて我々とコンタクトを取らせるために新たなコマンドを送った。これは数週間続けるが、オポチュニティが目覚めるかは高く望めない。
 

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カリフォルニア、モハベ砂漠にある、ゴールドストーンディープスペースコミュニケーションコンプレックス(Goldstone Deep Space Communications Complex)は、111.5フィート(34 m)ビーム導波管アンテナ(beam-waveguide antenna)によりオポチュニティを追跡する。
Image Credit : NASA/JPL-Caltech
 

何故こんな事態に?
オポチュニティが地球との最後の通信を果たしたのは、2018年6月10日のことだった。火星全球に渡る「塵埃の嵐」がオポチュニティに太陽からの動力源を遮り、バッテリーの回復を妨げてしまった。
 

JPL のオポチュニティのプロジェクトマネージャであるジョン・カラス(John Callas)は、次のように述べている。
「この新たなコマンドは、昨年09月からローバーに向けて送信してきた”sweep and beep”コマンドに追加されたものであり、複数の対処法を考えている」
"sweep and beep"では、単にオポチュニティにからの返答を求めるのではなく、ビープ音(擬声語)で応答するようにローバーにコマンドを送信する。
 

数週間続く新たな対処法であるコマンドは、疑われる三つのシナリオに対処する。プライマリとセカンダリの両方のXバンド通信が不可であることと、コンピュータの頭脳に時間枠を提供するローバーの内部時計にずれが生じていることだ。これらは有り得ることではないと考えられつつも、対処法として、Xバンド通信をバックアップ通信(予備機能)に切り替えるコマンドと、クロックをリセットし、UHF 経由で応答するように指示されたコマンドを送ることになった。

「オポチュニティには、過去7ヶ月間で600回以上も通信を試みた」とカラスは述べる。
「ローバからの応答は未だ無く、その可能性は日々減少していくが、我々は通信の復帰のために、あらゆる論理的解決策を追求し続けるつもりだ」

今のオポチュニティチームにとって時間はとても重要だ。「ほこりを取り除くシーズン」が終わりを告げる今、オポチュニティがとん挫している地域は寒い冬に向かっている。このことは、太陽からパネルを通して充電できていないバッテリー、ローバ内部の配線、さらには内部のコンピューターシステムに取り返しのつかない損傷をもたらす可能性があることを意味する。

今回の追加の対処法、または”sweep and beep”のいずれかによってローバからの応答機能を生成できたときには、地上エンジニアは通信の回復を試みることができる。もし、オポチュニティからの応答が無ければ、プロジェクトチームは JPL および NASA 本部の Mars Program Office と再度検討し、今後の方向性を決定しなければならない。

Mars Exploration Rovers
 



Akira IMOTO

Editorial Chief, Executive Director and Board of Director for The Planetary Society of Japan

Japanese Translation : A. IMOTO TPSJ Editorial Office