地球近傍小惑星 : 三年間「ミニムーン」として地球を周回し続ける小惑星 2020 CD3、だがこれは永遠には続かない


天文学者によって、地球が小さな小惑星を引き込み、一時的に軌道に引き込んだことが報告された。これは以前に一度しか記録されていない地球周辺で起きた天体物理現象だ。
 

Image Credit : Catalina Sky Survey/NASA
 

仮符号 2020 CD3 が付された 今年02月(15日)に見つかったこの小惑星は、地球の引力によって捕捉され、一部の天文学者により「ミニムーン」と呼ばれている。

02月25日、国際天文学連合のマイナープラネットセンター(MPC)は、この天体は「一時的に捕獲された天体(以下 TCO)」であると述べた。軌道を確定するには 377.8 日かかる。

「軌道シミュレーションからは、この天体が一時的に地球に捕獲されていることを示しており、日射圧力による摂動の証拠は見られず、既知の人工物体との関連も発見できていない。さらなる観察と力学的研究が強く推奨される」

この物体は、NASA の資金提供を受けたカタリナ・スカイ・サーベイ(以下 CSS)の研究者である Kacper Wierzchos と Theodore Pruyne によって発見された。彼らは、02月15日にアリゾナ州ツーソンにあるマウントレモン(Mt. Lemmon)天文台で、1.52メートルの望遠鏡を駆使して観測を行った。

CSS による小惑星探索は、地球に危険を及ぼす可能性がある地球に近いオブジェクト(near-Earth objects)を追跡する NASA の活動に役立つ。
 

2020 CD3 の地球周回は、2020年04月まで続くと予測

Wierzchos 氏は、炭素質とみられるこの岩塊は比較的小さく、直径1.9~3.5mで、MPC の調査(02月25日発表)によると三年ほど前から地球周辺軌道上にあったと述べた。
「これは、既知の小惑星が(およそ)100 万個あるなか、とても注目すべき出来事だ。2020 CD3 は地球を周回したことが判明する二例目の小惑星となる」

MPC データに基づいた軌道シミュレーターは、不安定なパターンで地球を周回する物体を示し、最終的に2020年04月までに宇宙に押し返された。(以下の画像)
 

Image Credit : Catalina Sky Survey/NASA
原文サイトにアニメイションがあります。
 

小惑星は地球を頻繁に通過するが、地球の重力に引き込まれて長期間にわたって軌道上に留まることはまれだ。ほとんどの小惑星および地球に近づく他の物体は地球の大気中に引き込まれ、進入時に燃え上がるか、または地球をかすめるようにフライバイして遠ざかっていく。

2006年には、最初の TCO である小惑星「2006 RH120」も CSS によって発見され、2007年に宇宙に投げ出されるまで1年間地球の軌道上に留まり続けた。
 

ニュースサイト記事ですが、NASA プロジェクト内容ということで、NASA カテゴリに収録しました。カテゴリが無く苦し紛れに ...



Akira IMOTO

Editorial Chief, Executive Director and Board of Director for The Planetary Society of Japan

Japanese Translation : A. IMOTO TPSJ Editorial Office