NASA 氷衛星探査機 Europa Clipper「木星圏探査機 Europa Clipper(エウロパ・クリッパー)製作過程をビデオシリーズで公開」

原文 : May 02, 2023 : New Video Series Captures Team Working on NASA’s Europa Clipper


NASA JPL(ジェット推進研究所)が中心となって企画されたこのショートビデオからは、宇宙ミッションの舞台裏を紹介し、宇宙ミッションがどのように組み上っていくのかを知ることができる。
 

Imahe caption :
ジェット推進研究所内のハイベイ 1(High Bay 1:JPL が誇る宇宙機組立施設であるクリーンルーム)で、NASA 探査機「エウロパ・クリッパー」の本体を作るエンジニアと技術者たち。今回のビデオシリーズは、クリーンルームの実際を公開し、宇宙ミッションの構築にはどのようなことが重要なのかを探査ファンに示すものだ。
Credit : NASA/JPL-Caltech
 

木星の氷衛星エウロパを目指す Europa Clipper(エウロパ・クリッパー)探査機は NASA がこれまで惑星探査ミッションで飛ばした中で最も大きなもので、2024年10月の打ち上げを目指して準備が進んでいる。
6 年間の 16 億マイル(約 26 億キロメートル)におよぶ惑星間航行の旅に耐えられる丈夫さと、この神秘的な木星衛星の詳細な科学観測を行うのに必要な高度を確保するため、現時点から打ち上げまでの間に、何千時間もの作業が宇宙船の組み立てとテストに費やされる。

新たに作成されたビデオシリーズ「Spacecraft Makers: エウロパ・クリッパー」は、2030年に木星系に到達するための緻密な作業の進捗状況をいち早く伝えている。エウロパ・クリッパーは、エウロパの表面氷殻の下に存在すると科学者が確信している氷下海洋についての疑問を解き明かすことが目的だ。
 


エウロパ・クリッパー・ミッション・チームがジェット推進研究所の舞台裏で、木星の氷衛星エウロパを訪問する宇宙機の設計について学んでいく。科学者の質問がどのようにハードウェアに反映されるのか、また、探査機製造の進捗状況について紹介する。
 

木星を周回する間に探査機は約 50 回、エウロパを近接フライバイする予定だ。

エウロパをランデブー(周回)すると、探査機が巨大ガス惑星木星の過酷な放射線帯に近づきすぎるため周回はできない。詳しくは動画から

各フライバイでは、一連の科学機器が氷下海洋の深さ、表面氷殻の厚さ、氷下海洋水を宇宙空間に放出するプリュームの詳細データを収集する。その目的は、エウロパが生命を維持する可能性があるかどうかを調べることにある。

また、ハイベイ 1(High Bay 1:JPL が誇る宇宙機組立施設であるクリーンルーム)での組み立ての様子も 24 時間ライブでご覧頂ける。

「Spacecraft Makers」によるの追加エピソードでは、エウロパ・クリッパーのコンポーネントが組み合わされる他のクリーンルーム内の様子も紹介される予定だ。このシリーズの今後のシーズンにおいては、JPL で建設中の他のミッションも取り上げる予定となっている。
 

More About the Mission(ミッションの詳細)

エウロパクリッパーなどのミッションは、宇宙生物学の分野、つまり私たちにとって既知である生命が存在する可能性のある遠い氷世界の変数と条件に関する学際的な研究への貢献を促す。エウロパクリッパーは生命探査ミッションではないが、木星衛星エウロパの詳細な観測を行い、氷下に海洋がある氷衛星に、生命を維持する能力があるかどうかを調べる。エウロパの生命居住性を理解することは、科学者が地球上で生命がどのように発達したか、そして我々の惑星地球外において生命発見の可能性についての理解を向上させる。

カリフォルニア工科大学がカリフォルニア州パサデナで管理している JPL は、ワシントンにある NASA の科学ミッション局の APL と協力して、エウロパクリッパーミッションの開発を主導している。アラバマ州ハンツビルにある NASA のマーシャル宇宙飛行センターにある惑星ミッションプログラムオフィスは、エウロパクリッパーミッションのプログラム管理を実行する。

エウロパクリッパーの詳細については、以下を参照いただきたい。

NASA's Europa Clipper
 

News Media Contact

Gretchen McCartney
Jet Propulsion Laboratory, Pasadena, Calif.

Karen Fox / Alana Johnson
NASA Headquarters, Washington

2023-061



Akira IMOTO

Editorial Chief, Executive Director and Board of Director for The Planetary Society of Japan

Japanese Translation : A. IMOTO TPSJ Editorial Office