NASA Psyche 探査計画「NASA Psyche(プシケ、サイキ)探査機、小惑星 16 プシケに向けて来月打ち上げへ」

原文 : September 06, 2023 : NASA’s Psyche Mission on Track for Liftoff Next Month


金属を豊富に含むプロジェクト名と同じ名前の小惑星 16 Psyche(プシケ)を目指す Psyche(プシケ、サイキ)ミッションは、フロリダ州の NASA KSC(ケネディ宇宙センター)からの打ち上げを10月05日に予定している。
 

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完成した Psyche 探査機の全貌。
Credit : NASA/JPL-Caltech
 

探査機の太陽電池アレイは封筒のように折りたたまれて収納された。小惑星帯への旅の燃料であるキセノンガスも充填されている。4 基のスラスターはすべて最終テストに合格した。巨大なハイゲインアンテナがデータを送信するように設定されていることはエンジニアによって確認済みだ。ソフトウェアは総てテストされ、準備が整っている。マルチスペクトルイメージャー、磁力計、ガンマ線・中性子スペクトロメーターなど、小惑星プシケを調査する科学機器は、活動の準備を整え終えている。

NASA Psyche 探査機は、10月05日(木)から10月25日(水)までの打ち上げ期間開始まで三十日を切った。このミッションが金属の豊富な小惑星から何を学ぶかによって、惑星形成のプロセスについてより多くのことが判明する期待が持たれている。
 

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NASA Psyche 探査機は、この図に描かれているように、小惑星プシケに向かっては螺旋軌道をとる。NASA の Deep Space Optical Communications(深宇宙光通信、DSOC)技術実証の試験期間は赤い点で示されている。
Credit : NASA/JPL-Caltech
 

「このようなミッションには、非常に多くの人々を必要とし、綿密であり、厳密な個人を主体とした作業が必要となる」とアリゾナ州立大学の Psyche 主任研究員、Lindy Elkins-Tanton(リンディ・エルキンズ=タントン)は言う。
「私には有頂天になってやる用意は既にできている。見事に打ち上げて、さっさと通信を確立してやろう。そこに至れば、叫んだり、飛び跳ねたり、抱き合ったりできる!」

二週間以内に、技術者たちは探査機をペイロードフェアリング(ロケット上部の円錐形)への格納を開始し、探査機はフロリダの NASA ケネディ宇宙センターにあるスペース X の施設に移動する。Psyche 探査機は、10月05日午前10時38分(EDT 米国東部夏時間)に同センターの発射場 39A からスペース X 社のファルコン・ヘビーで打ち上げられる予定だ。

「南カリフォルニアの NASA JPL(ジェット推進研究所)で Psyche のプロジェクト・マネージャを務める Henry Stone(ヘンリー・ストーン)は、「だんだん現実味を帯びてきたね。我々は日々、打ち上げまでの日数を数えている。チームはこの宇宙船を旅に送り出す準備を既に十二分に整えており、とてもエキサイティングな日々を送っている」と語った。

地球の重力から脱出した後、Psyche 探査機は太陽電気推進により小惑星までの六年間での旅の到達を目指す。この効率的な推進システムは、中性ガスであるキセノンの荷電原子(イオン)を加速して排出することで機能し、単三電池 1 本を手に持ったときのような力で宇宙船を緩やかに推進する推力を生み出す。技術者たちは最近、約二週間かけて 2,392 ポンド(1,085 キログラム)のキセノンを探査機に充填した。

最も広いところでおよそ 173 マイル(279 キロメートル)の大きさの小惑星プシケは、初期の惑星の構成要素であるプラネテシマルのコアの一部とみられている、金属を豊富に含む天体を探査するという稀な機会を提供してくれる。探査機が火星と木星の間の小惑星メインベルトにあるプシケに到達したのち、約 26 ヶ月かけて小惑星とランデブーし、画像やその他のデータを収集する。
 

ミッションの詳細

ASU(アリゾナ州立大学)は、Psyche ミッションを主導する。NASA JPL ジェット推進研究所が、ミッションの全体的な管理、システムエンジニアリング、統合およびテスト、ミッション運用を担当する。カリフォルニア州パロアルトにある Maxar Technologies 社は、高出力太陽電気推進宇宙機のシャーシを提供している。Deep Space Optical Communications(DSOC)は、NASA の宇宙技術ミッション本部内の技術実証ミッションプログラムと、宇宙作戦ミッション本部内の宇宙通信・ナビゲーション(SCaN)プログラム試験として、JPL によって管理されている。加えて JPL は、将来の NASA ミッションで使用される可能性のある高データレートのレーザー通信をテストするために、プシケに搭載される深宇宙光通信と呼ばれる技術実証装置を提供している。
打ち上げは、ケネディ宇宙センター(KSC)にある NASA の打ち上げサービスプログラムが管理している。Psyche Mission は NASA ディスカバリープログラムの一部で、アラバマ州ハンツビルにあるマーシャル宇宙飛行センターの管理のもとで実施される。

Psyche Mission についての詳細は以下をご覧頂きたい。

Psyche Asteroid Mission | NASA

Psyche Mission | A Mission to a Metal World(ASU)
 

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Gretchen McCartney
Jet Propulsion Laboratory, Pasadena, Calif.

Karen Fox / Alana Johnson
NASA Headquarters, Washington

2023-108
 



Akira IMOTO

Editorial Chief, Executive Director and Board of Director for The Planetary Society of Japan

Japanese Translation : A. IMOTO TPSJ Editorial Office